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ドル円、139.89円⇒145.92円まで反発
今週のドル円は買い戻しが継続しました。先週22日には一時139.89円まで値を下げましたが、結局昨年9月16日の安値139.58円がサポートされて、そのあとは反発。その流れを引き継いで今週も円売り・ドル買いが優勢となりました。一番の要因は4月30-5月1日の日銀金融政策決定会合。
日銀は政策金利を市場予想通り0.50%に据え置きましたが、同時に公表した4月の展望レポートで経済成長率や物価見通しを前回(1月)から下方修正。また、植田和男日銀総裁は記者会見で「米国の関税政策などの影響で、中心的な見通しを巡る不確実性は従来以上に大きくなった」との見解を示したほか、「見通しの実現確度はこれまでほど高くはない」「次の利上げのタイミングは見通し変更の有無などで前後する」などと発言。市場では「日銀の利上げ時期が不透明になり、早期の利上げには動かない」との見方が広がりました。日銀の早期利上げ観測の後退を背景に円売り・ドル買いが優勢になると、週末2日のアジア時間には145.92円と4月10日以来の高値を付けています。
*Trading Viewより
なお、今週は中国商務省が「米国との貿易協議の可能性を検討する」との見解を示したと伝わったほか、「中国は米国との通商協議開始に向けてフェンタニルに関する提案を検討している」との報道が伝わりました。米関税政策を巡る米中協議が進み、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待が高まると、米国株高とともに投資家が運用リスクを取る姿勢を強め、円売り・ドル買いが出やすい地合いとなりました。
投機筋の円買いポジション、やや拡大 過去最大を更新
米商品先物取引委員会(CFTC)が5月2日(日本時間3日早朝)に発表した4月29日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は17万9212枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から1398枚増え、4週連続で過去最大を更新しました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが目立ちました。そして、一気に10万枚の大台を突破し、その後も拡大傾向が続いています。
*CFTC HPより
内訳をみると、円ロング=20万2797枚、円ショート=2万3585枚となっており、投機筋の円ロングが若干増え、円ショートも若干減少しています。もっとも、この数値は日銀金融政策決定会合前の4月29日までのデータであり、現在は円ロングポジションが縮小している可能性もあります。ただ、ポジションとしては非常に偏っている状況に変わりはなく、行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動で円安方向に大きく動く可能性は引き続き警戒されます。
日銀の「年内利上げ」 後ずれ不可避か
市場では日銀の4月展望レポートによる経済成長率や物価見通しの下方修正が衝撃を与えており、「日銀の利上げ時期の後ずれは避けられない」との見方が広がっています。また、米銀大手ゴールドマン・サックスは日銀の次回利上げ時期を従来の7月から2026年1月に変更したと伝わっており、日銀の想定以上の「ハト派」姿勢が株高・円安の流れを強めるとの見方も広がっています。「投機筋は史上最高水準の円ロングポジションの解消へと舵を切っている」との声が聞かれる中、来週以降は行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動がどれほど強まるかが焦点となりそうです。
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