日々是売買~トレードへの道

第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」

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ドル円、ジリジリ下げて141.62円 半年ぶり安値

 

今週のドル円はじり安の展開となりました。週明けには「トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンなどを除外した」と伝わり、株価が上昇。投資家の過度な警戒感が後退し、円売り・ドル買いが強まる場面もありました。ただ、米長期金利の低下やウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の発言「関税によるインフレへの影響は一時的なものと予想」「経済が著しく減速し、景気後退入りの恐れがある場合、自身のこれまでの予想よりも早い時期に、より大きな度合いでの利下げを支持する」が相場の重しとなり、結局ドル安方向に。17日のアジア市場では一時141.62円まで売られ、昨年9月以来の安値を更新しています

 

*Trading Viewより

 

ただ、そのあとは円高・ドル安誘導を求められるとの警戒感があった日米貿易交渉に出席した赤沢経済再生相から「為替については議論が出なかった」などの発言が伝わると円売りが一気に強まり、142.50円台まで下げ渋っています。もっとも、NY市場に入ると、トランプ米大統領がSNSへの投稿で「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」と批判したことも嫌気されてドル円は失速。低調な米経済指標や米国株相場の下落も相場の重しとなっています。

 

なお、18日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で欧州やカナダが休場、米国も株式・債券・商品市場が休場だったことから市場参加者が激減。商いは低調となりましたが、「来週行われる見通しの加藤財務相とベッセント米財務長官の会談で円安の是正が議題に上るのではないか」との見方から広がっていることもドル円の重しとなりました。

 

 

 

注目は24日予定の日米財務相会談 為替問題協議か

 

週末には「米関税交渉に関連して、加藤財務相は24日にベッセント米財務長官と会談することで最終調整している」と伝わっています。来週はワシントンで国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が予定されています。こうした中、加藤財務相はワシントン滞在中の現地時間24日にベッセント米財務長官と会談することで最終調整しているといいます。市場では「米政権が日本に円安修正やドル安誘導への協力を求める可能性が意識されている」との指摘がありました。

 

G20財務相・中央銀行総裁会議に出席する政策当局者の発信も含めて、結果次第で相場が大きく動く可能性もありそうです。「心理的な節目の140円を維持できるかどうかが焦点」との見方もありました。テクニカル的には昨年9月16日139.58円が重要なポイントとなりそうです。

 

 

 

投機筋の円買いポジション、さらに拡大 過去最大の17万枚超え

 

米商品先物取引委員会(CFTC)が4月18日(日本時間19日早朝)に発表した4月15日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は17万1855枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から2万4788枚増え、過去最大の大きさとなりました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが目立ちました。そして、一気に10万枚の大台を突破し、その後も拡大傾向が続いています。

 

*CFTC HPより

 

内訳をみると、円ロング=19万8560枚、円ショート=2万6705枚となっており、投機筋の円ロングは当然増えていますが、円ショートも減少しています。




兎にも角にも24日の日米財務相会談

 

投機筋の円ロングポジションは過去最大の大きさとなっていることから、行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動で円安方向に大きく動く可能性は引き続き警戒されます。ただ、10万枚を超えてきたあたりから、その「反動」への警戒はあったにもかかわらず、着々と円買いポジションは積み上がっています。正直、この水準までポジションが膨らむとは想定していませんでした。いずれ「ポジションの巻き戻し」はくるでしょうが、それは今ではないのかもしれません。

 

兎にも角にも、24日に予定されている日米財務相会談には注目です。ベッセント米財務長官は以前、FOXビジネスに出演し「日本では円高が進行しているが、これは日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ」と発言。堅調な経済指標の結果として「日銀は金利を引き上げており、全ては自然なことだ」と話し、「円高ドル安を懸念しておらず、円安是正のための為替介入や日銀の利上げを支持する」ことを示唆しています。市場では「米国が日本の金融政策に対して口出ししてくる伏線のような印象。日銀に利上げを促し、円安是正を暗に求めているようだ」との声が聞かれています。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」
第82回「ドル円『1日の値幅は3円超』 売っても買ってもやられる相場」
第81回「虎の子だったはずのポジションが見事に粉砕」
第80回「円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力」
第79回「投機筋の円買いポジション、いよいよ巻き戻しスタートか!?」
第78回「来るか!?行き過ぎた『ポジションの偏り』の反動」
第77回「投機筋の円買い過去最大 行き過ぎた『ポジションの偏り』」
第76回「投機筋の円買いが過去最大に 偏り警戒160円超えを指摘する声も」
第75回「投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大」
第74回「投機筋の円買いポジション、5万4615枚に拡大」
第73回「ドル円、テクニカル的にも売りが出やすいか」
第72回「投機筋、ポジションはほぼフラットに」
第71回「28-29日のFOMC、利下げ見送りが濃厚」
第70回「日銀の追加利上げは織り込み済み」
第69回「ドル円は半年ぶり高値 ロングは維持したい」
第68回「やっぱり7月3日の高値161.95円突破を狙いたい」
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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