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ドル円、ジリジリ下げて141.62円 半年ぶり安値
今週のドル円はじり安の展開となりました。週明けには「トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンなどを除外した」と伝わり、株価が上昇。投資家の過度な警戒感が後退し、円売り・ドル買いが強まる場面もありました。ただ、米長期金利の低下やウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の発言「関税によるインフレへの影響は一時的なものと予想」「経済が著しく減速し、景気後退入りの恐れがある場合、自身のこれまでの予想よりも早い時期に、より大きな度合いでの利下げを支持する」が相場の重しとなり、結局ドル安方向に。17日のアジア市場では一時141.62円まで売られ、昨年9月以来の安値を更新しています。
*Trading Viewより
ただ、そのあとは円高・ドル安誘導を求められるとの警戒感があった日米貿易交渉に出席した赤沢経済再生相から「為替については議論が出なかった」などの発言が伝わると円売りが一気に強まり、142.50円台まで下げ渋っています。もっとも、NY市場に入ると、トランプ米大統領がSNSへの投稿で「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」と批判したことも嫌気されてドル円は失速。低調な米経済指標や米国株相場の下落も相場の重しとなっています。
なお、18日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で欧州やカナダが休場、米国も株式・債券・商品市場が休場だったことから市場参加者が激減。商いは低調となりましたが、「来週行われる見通しの加藤財務相とベッセント米財務長官の会談で円安の是正が議題に上るのではないか」との見方から広がっていることもドル円の重しとなりました。
注目は24日予定の日米財務相会談 為替問題協議か
週末には「米関税交渉に関連して、加藤財務相は24日にベッセント米財務長官と会談することで最終調整している」と伝わっています。来週はワシントンで国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が予定されています。こうした中、加藤財務相はワシントン滞在中の現地時間24日にベッセント米財務長官と会談することで最終調整しているといいます。市場では「米政権が日本に円安修正やドル安誘導への協力を求める可能性が意識されている」との指摘がありました。
G20財務相・中央銀行総裁会議に出席する政策当局者の発信も含めて、結果次第で相場が大きく動く可能性もありそうです。「心理的な節目の140円を維持できるかどうかが焦点」との見方もありました。テクニカル的には昨年9月16日139.58円が重要なポイントとなりそうです。
投機筋の円買いポジション、さらに拡大 過去最大の17万枚超え
米商品先物取引委員会(CFTC)が4月18日(日本時間19日早朝)に発表した4月15日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は17万1855枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から2万4788枚増え、過去最大の大きさとなりました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが目立ちました。そして、一気に10万枚の大台を突破し、その後も拡大傾向が続いています。
*CFTC HPより
内訳をみると、円ロング=19万8560枚、円ショート=2万6705枚となっており、投機筋の円ロングは当然増えていますが、円ショートも減少しています。
兎にも角にも24日の日米財務相会談
投機筋の円ロングポジションは過去最大の大きさとなっていることから、行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動で円安方向に大きく動く可能性は引き続き警戒されます。ただ、10万枚を超えてきたあたりから、その「反動」への警戒はあったにもかかわらず、着々と円買いポジションは積み上がっています。正直、この水準までポジションが膨らむとは想定していませんでした。いずれ「ポジションの巻き戻し」はくるでしょうが、それは今ではないのかもしれません。
兎にも角にも、24日に予定されている日米財務相会談には注目です。ベッセント米財務長官は以前、FOXビジネスに出演し「日本では円高が進行しているが、これは日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ」と発言。堅調な経済指標の結果として「日銀は金利を引き上げており、全ては自然なことだ」と話し、「円高ドル安を懸念しておらず、円安是正のための為替介入や日銀の利上げを支持する」ことを示唆しています。市場では「米国が日本の金融政策に対して口出ししてくる伏線のような印象。日銀に利上げを促し、円安是正を暗に求めているようだ」との声が聞かれています。
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