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米10年債利回り、16年ぶりに「5%」を突破
今週23日には米10年債利回りが2007年7月以来となる「5%」を突破しました。実に16年ぶりのことです。米連邦準備理事会(FRB)が高水準の金利を維持し、米政府も拡大する財政赤字を賄うため債券を増発するとの観測が背景にあります。
*Trading Viewより
パウエルFRB議長は先週、「金融当局は11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置きに傾いているものの、景気が底堅くインフレリスクをあおる場合には、引き続き追加利上げを辞さない」と示唆しました。
また、米政府は財源不足で債券供給の増加を強いられる公算が大きく、米財政の持続性可能性に対する懸念も高まっています。これも米金利に上昇圧力をかけています。8月の四半期定例入札は2年半ぶりの規模に上りましたが、米財務省は11月の借り換えを今準備しているところです。
市場では「短期的には魅力的に見える水準だが、テクニカル的に弱い中で投資家は落ちてくるナイフをつかもうとはせず(債券価格は下落=金利は上昇)、地政学的なリスクや鈍化するデータなど、材料を引き続き待とうとするのではないか」「極めて高水準の金利ボラティリティーが短期的に続く可能性がある」との声が聞かれています。
節目の「5%」はやはり魅力的
一方で、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは「米10年債利回りが5%以上になれば、投資家が参入する好機になる」としています。「現在の環境で、利回り5%突破はデュレーションの観点からポートフォリオに長期債を組み入れる絶好の水準になる」と指摘。「5%を突破すれば、モルガン・スタンレーのフェアバリュー水準から『オーバーシュート』の範囲に入るだろう」と話しています。
金利上昇を止めた男
米著名投資家のビル・アックマン氏は23日、ソーシャルメディアX(旧ツイッター)への投稿で「米30年債のショートポジションを買い戻した(We covered our bond short)」ことを明らかにしました。「現在の長期金利では米国債をショートで維持するにはリスクがあり過ぎる」と指摘。「最近のデータが示すよりも、経済の減速度合いは大きい」と述べています。
*Trading Viewより
この投稿をきっかけに、米国債券相場は上昇=金利は低下。市場では「アックマン氏の動きに他の参加者が追随し、米国債の買い戻しに動いた」との見方が広がりました。
米国債(CFD)の買いポジション、含み損は縮小
10月の第2週あたりまでFRB高官のハト派(dovish)発言が相次いだことから、米長期金利は今後低下していく=債券価格は上昇すると予想し、今月9日に米国10年国債先物($10)=CFDをロング。ロットは「1」で、約定レートは「10741.8」となっています。
しかしながら、いったんは上昇するかと思われた米国債(CFD)は先週に入り連日の下落。利回りは2007年7月以来となる5%を突破しました。
*IG証券より
本日27日朝の時点で「未実現損益」は「▲1118ドル(16万8000円程度)」となっており、前週20日時点の「▲1977ドル(29万6000円程度)」からは含み損が縮小しています。多くのレポートでも伝わっている通り「5%」は買いとみられているようで、「いったん金利上昇ステージは終わり」との見方は多い印象。ある市場関係者からは「米5年債も10年債の利回りもほぼ5%の水準に収れんした。2年債利回りは30年債利回りにほぼ追いついた。金利上昇のステージは、ほぼ終了の可能性がある」との声が聞かれています。
もちろん、これまでの上昇の余韻や需給不安で多少の利回り上昇はあり得ますが、足もとの金利上昇ステージはほぼ終盤と見込み、ポジションはしばらく維持したいと思います。
もっとも、本日27日夜には重要な経済指標の発表がありますので、それ次第とも言えます・・・。それは21時30分の9月米個人消費支出(PCE)物価指数のエネルギー・食品を除くコア指数です。FRBはこの米PCEコアデフレーターをインフレ指標として重視しており、昨日も「米GDPが予想より強い数字となったにもかかわらず、あわせて発表されたコアPCE速報値が予想より弱い内容となったことが米長期金利の低下につながった」との声が聞かれるほどです。
このPCEコアデフレーターはCPIよりも重要で、FOMC参加者の経済見通し(SEP)ではこの数値がターゲットになっています。
*FRBのホームページより
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