日々是売買~トレードへの道

第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」

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ドル円は重要イベントを無難に通過

 

今週は市場が注目する重要なイベントが相次ぎましたが、概ね「無難に通過」した印象です。23日には日銀が金融政策決定会合で、市場予想通り大規模緩和を維持することを決定。植田日銀総裁が会見で「物価見通し実現の確度は引き続き少しずつ高まっている」と話すと、「金融政策の正常化に前向きな発言」との受けとめから円買いが強まる場面もあり、ドル円は日本時間夕刻に一時146.99円まで急速に値を下げました。

 

ただ、売りは長続きせずにそのあとは買い戻しが優勢となりました。植田総裁が「マイナス金利を解除しても極めて緩和的な環境が続く」と述べたことが円売り・ドル買いを誘ったほか、米長期金利の上昇を受けて全般ドル買いが活発化し、148.70円まで値を上げています。

 

*Trading Viewより

 

24日には本邦長期金利の上昇や日経平均先物の下落を背景に146.66円まで値を下げていますが、そのあとは1月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことや米長期金利の上昇を受けて買い戻されています。25日には10-12月期米国内総生産(GDP)速報値が前期比年率3.3%増と予想の2.0%増を上回ったことで147.92円まで値を上げています。

 

*Trading Viewより


先週までの動きに比べると、今週は材料が多かったにもかかわらず、148.00円を挟んだ狭いレンジでのもみ合いとなっています。

 

 

 

方向性が出るまではレンジ相場

 

ベテランディーラーからは「植田日銀総裁の会見を受けて、金融政策変更の時期が早まる可能性が出てきたとすれば、円安傾向が続くという見通しを修正せざるを得なくなるが、今の段階でマイナス金利の解除が3月に行われると見通せるわけではない。ただ、その可能性について意識せざるを得ないため、一方的な円安シナリオは困難に。半面、一方で円高に向かうほどのインパクトはまだないため、ドル円はもみ合い相場となりそうだ」との指摘がありました。

 

実際、今週も日銀のマイナス金利解除観測の高まりから円買いが優勢となる場面もありましたが、10-12月期米GDPを受けて米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が高まったことからドルも上昇しやすく、「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引きする状況が続きそうだ」との見立ても多いようです。

 

*Trading Viewより

 

私の好きな一目均衡表チャートを見ると、下サイドへの不安はなく、どちらかというと上サイドに振れる可能性が高そうですが、この「日銀政策修正観測と米軟着陸期待が綱引き」の状況はしばらく続くかもしれません。チャート的には一目均衡表雲の上限146.44円あたりから19日に付けた昨年11月28日以来の高値148.80円までのレンジを想定し、どちらかに抜けてトレンドが出るようならトレンドフォロー(順張り)でエントリーしたいところです。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
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第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
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第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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