日々是売買~トレードへの道

第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」

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投機筋の円売りポジション、再び増加傾向

 

ヘッジファンドによる円売りポジションは政府・日銀による為替介入があったとみられる4月29日以降、大幅に減少しましたが、その動きは一服。再び増加傾向にあります。米商品先物取引委員会(CFTC)が4月26日に発表した4月23日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは17万9919枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。

 

その後、5月17日に発表された14日時点の建玉報告によると、投機筋の円売りポジションは12万6182枚と4月23日時点の17万9919枚から5万3737枚減少していましたが、今週31日発表の28日時点の建玉報告では15万6039枚まで増加していることが分かりました。2週連続の増加となります。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

市場関係者からは「背景には低金利の円を売って高金利の通貨を買うことで利息収入を得る【円キャリー取引】を再構築しようとする動きがある」「投機筋は日米金利差が開いた状態が続くとみて、再び円売りを仕掛けつつあるのでは」との声が聞かれています。

 

 

 

ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月

 

ドル円は4月29日に160.17円と1990年4月以来34年ぶりの高値まで急伸しましたが、そのあとは政府・日銀による為替介入とみられる動きで5月3日には151.86円まで一転下落しています。政府・日銀による介入とみられる円買いの動きは4月29日の午後と1日のFOMC後である日本時間2日の早朝の2回。ただ、そのあとは再びじり高の展開となり、今週29日には157.71円まで上昇し、直近の介入前の水準に戻った形となっています。

 

*Trading Viewより

 

なお、財務省は昨日31日、4月26日-5月29日の外国為替市場における介入総額が9兆7885億円だったと公表しました。1カ月の介入額としては過去最高となり、市場予想の8-9兆円程度をやや上回りました。

 

米利下げ観測の後退で市場が円売り・ドル買い材料とする日米金利の開きが依然大きいため、ドル円は結局底堅い動き。市場では「政府・日銀が実施した円買い介入は投機的な円売りを一時的に抑制したものの、効果は1カ月。日米金利差が縮小するまで介入で時間稼ぎを続ける苦しい対応を迫られそうだ」との指摘もありました。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャート

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、終値ベース=157.31円で雲の上限155.32円、基準線156.01円、転換線156.78円を上回っています。テクニカル的にも上サイドが期待が出来る中、このところ政府関係者から円安に対する目立ったけん制発言はなく、介入警戒感が弱まっています。一方で、米連邦準備理事会(FRB)高官からは早期利下げに慎重な姿勢が相次いで示されており、円キャリー取引を後押しする要因となっています。

 

*Trading Viewより 

 


 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
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為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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