日々是売買~トレードへの道

第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」

当コラムでは「IG証券」のデモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。「IG証券」は「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。

 

 

 

ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる

 

 

今週のドル円は上値が重い展開となっています。昨日7日のNY時間には一時147.59円と2月2日以来約1カ月ぶりの安値を付けました。日銀が今月18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除するとの観測から円買い・ドル売りが優勢になりました。

 

*Trading Viewより

 

中川順子日銀審議委員は7日、島根県金融経済懇談会であいさつし、「企業の賃金設定を巡る姿勢に明確な変化の兆しが見られるなど、経済・物価情勢は2%物価目標の実現に向けて着実に歩を進めている」と述べました。ただ、「日本経済には自然災害の発生などさまざまな不確実性が常に存在する」として「その時点での適切な政策運営のため、予断を持たずに情報収集を続けた上で判断したい」とも話しています。

 

高田創日銀審議委員が先月29日に、「経済の不確実性はあるものの、2%の物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」と言明し 市場では早期のマイナス金利解除観測が高まり、中川委員の発言に注目が向かっていました。

 

なお、植田和男日銀総裁も7日の参院予算委員会で「基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に高まるという見通しが実現する確度は、引き続き少しずつ高まってきている」と述べています。

 

市場では「これまで政策修正に懐疑的だった向きも他の中銀が利下げに転じる前に日銀がマイナス金利政策の解除に動くとの見方を強めている」との指摘がありました。

 

 

また、厚生労働省が7日発表した1月毎月勤労統計調査(速報)では、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.6%減とマイナス幅が13カ月ぶりの水準に縮小しました。さらに日本最大の労働組合の全国組織である連合は同日、今年の春闘における参加労組の賃上げ要求が5.85%と30年ぶりに5%を上回ったと発表しました。

 

これらの結果は日銀が早期にマイナス金利を解除する可能性を後押しするものです。賃金上昇などを背景に日銀が今月にも決定に至る可能性が意識されています。

 

 

 

 

FRB議長、利下げ「そう遠くない(not far)」

 

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は6日、米下院金融サービス委員会で「政策金利はすでにピークに達している」という考えを示したうえで、「年内のいずれかの時点で利下げを始めることが適切になるだろう」と述べました。ただ、具体的な時期の言及は避けました。

 

ただ、翌7日の米上院銀行委員会での議会証言では「FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信はそう遠くない(not far)将来に得られる」と述べています。日米金利差の縮小を見込んだ円買い・ドル売りも入りやすい地合いと言えます。

 

 

 

ドル円のロングは維持もストップロスを設定

 

先月1日に建てたドル円(標準)のロング@146.33円、ロット「1」は長くキープしていましたが、想定外の下げを警戒してストップロスを「146円」に設定しました。以前の含み益は「4万円」程度ありましたが、現在は「1万5000円」程度。

 

*IG証券より

 

前回の記事でも指摘しましたが、私の好きな一目均衡表チャートを見ると、雲が引き続きサポートとして機能はしていますが、「雲のねじれ」以降は下サイドに動き始めています。これまでの円安・ドル高が反転して可能性も否定できず、念には念を入れてストップロスを設定した次第です。しばらくはこのままポジションを維持したいところですが、果たしてどうなるか?

 

*Trading Viewより 


 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

 

この連載の一覧
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

中村 知博の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております