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ドル円、乱高下の末142.07円と半年ぶりの安値を付ける
*Trading Viewより
今週のドル円は上下に大きく振れる荒い値動きとなりました。前週末にベッセント米財務長官が「新たな関税は必要な措置だ」と述べたほか、ラトニック米商務長官が「延期はない」と発言するなど、米政権が関税政策に対して強気な姿勢を示したことから、週明け7日の早朝から売りが活発化する展開。トランプ米大統領が「貿易赤字が解決されない限り中国と取引しない」と述べたこともあり、株安・円高・ドル安が進みました。
ただ、その日のNY時間にはハセット米国家経済会議(NEC)委員長の発言として「トランプ米大統領は中国を除くすべての国・地域に対する関税を90日間、一時停止することを検討している」との報道⇒すぐに米ホワイトハウスが「フェイクニュース」と当該報道を否定。相場は乱高下しました。
8日には「トランプ米政権は中国に対する104%の追加関税を発動する」と伝わり、株価失速と円高が進行。
そして、日本時間9日13時(現地時間9日0時)に予定通りに相互関税(上乗せ分)が発動されると株価急落と円高・ドル安が加速しました。NY時間にはベッセント米財務長官が最近の円高について「自然な流れ」と発言したこともドル円の相場の重しに。
もっとも、日本時間10日2時過ぎにトランプ米大統領が「中国への関税を125%に引き上げる」とした一方、「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税(上乗せ分)引き上げを90日間一時停止する」と発表すると、ダウ平均が3100ドル超上昇し、ナスダック総合が12%超急騰。ドル円もショートカバーが強まり、148.27円まで急伸しました。
しかしながら、これを好感した動きは1日で終息。米政権による関税を巡り中国が米国に譲歩しない姿勢を維持する中、米中の貿易戦争激化への懸念から、10日には米国株相場が大幅に下落し、米長期債やドルが売られる、いわゆる「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」の様相が強まりました。週末11日の欧州市場まではこの流れが続き、日本時間18時前に一時142.07円と昨年9月以来の安値を付けています。
*Trading Viewより
今週は株や為替、債券、コモディティのどのマーケットでも「ひどい相場だった」との声が聞かれています。特に日本株=日経平均の動きはひどいものになったようです。今週末11日の終値33585.58円は前週末4日の終値33780.58円と比べて僅か「195円の下げ」。誤差と言っても過言ではありませんが、実際に株式取引を行った投資家やトレーダーにとっては散々な1週間だったことが伺えます。
ドル円も似たようなもので、今週の値幅は
7日 144.82-148.15円 値幅3.33円
8日 145.97-148.12円 値幅2.15円
9日 144.00-148.27円 値幅4.27円
10日 144.02-147.87円 値幅3.85円
11日 142.07-144.64円 値幅2.57円
と、1日の平均値幅が3.23円程度とかなり大きなものとなっています。まさに「売っても買ってもやられる」相場と言えます。
投機筋の円買いポジション、過去最大の14万枚
米商品先物取引委員会(CFTC)が4月11日(日本時間12日早朝)に発表した4月8日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は14万7067枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から2万5293枚増え、過去最大の大きさとなりました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが目立ちました。そして、一気に10万枚の大台を突破し、3月には13万枚を超える円買い越し。それをさらに超えてきた格好です。
*CFTC HPより
内訳をみると、円ロング=17万6555枚、円ショート=2万9488枚となっており、投機筋の円ロングは当然増えていますが、円ショートが減少していることも特徴となっています。
米財務長官、「円安是正介入や日銀利上げ支持」示唆
ベッセント米財務長官は今週9日、FOXビジネスに出演し「日本では円高が進行しているが、これは日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ」と発言。堅調な経済指標の結果として「日銀は金利を引き上げており、全ては自然なことだ」と話し、「円高ドル安を懸念しておらず、円安是正のための為替介入や日銀の利上げを支持する」ことを示唆しました。
この発言を受けて市場では「米国が日本の金融政策に対して口出ししてくる伏線のような印象。日銀に利上げを促し、円安是正を暗に求めているようだ」との声が聞かれました。
投機筋の円ロングポジションは過去最大の大きさとなっていることから、行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動で円安方向に大きく動く可能性を想定していましたが、それは今ではないのかもしれません。
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