日々是売買~トレードへの道

第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」

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ドル円、戻りを確認したか

 

ドル円は今月16日に一時139.58円と昨年7月28日以来約1年2カ月ぶりの安値を付けましたが、そのあとは良好な米経済指標などを受けて一転買い戻しが優勢に。27日の昼頃までは“非常に良い感じ”に戻り歩調が続いていました。27日の自民党総裁選の第1回投票では、「アベノミクス」の継承を掲げ、日銀の利上げに否定的な高市早苗氏が1位となり、外国為替市場では円安進行、株式市場では日経平均が900円超高の高値引けとなりました。ドル円はこの日の14時30分前に146.49円と3日以来の高値を付けています

 

*Trading Viewより

 

ただ、決選投票で石破茂元幹事長が高市氏にわずか21票差で逆転勝利を収めると、日経平均先物が急落し、ドル円も大きく値を下げました

 

市場では「石破氏の勝利が日銀による追加利上げの道を開いた」との声が聞かれたほか、「自民党総裁選で日銀の利上げに批判的な高市早苗氏が勝利するとの思惑から膨らんでいた株買いと円売りポジションを解消する動きが広がった」との指摘がありました。

 

*Trading Viewより

 

今後は10月1日に臨時国会が召集され、石破氏が新総理に選出される見通しですが、「アベノミクス」の継承を打ち出していた高市氏とは異なり、石破氏は「株式市場にとっては評価が難しい」との声も。「石破新政権誕生で株価はこれから停滞しかねない」との見方もあるだけに、さえない株価がドル円の重しとなる可能性もありそうです。

 

なお、石破氏は27日夜のテレビ番組で「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない」「緩和的な金融政策の方針は変わらない」とも発言しており、一時的にですが、日経平均先物とドル円の買い戻しにつながる場面がありました。「石破氏の本当の考えは10月1日以降に行われる組閣の人選によって判明するのでは」と指摘もある中、このあたりを海外勢がどう受け止めていくかも焦点となりそうです。

 

 

 

次期首相の石破氏の記者会見

 

石破氏は27日に党本部で記者会見し、経済対策を含む2024年度補正予算案の編成について語っています。「物価上昇を上回る賃金上昇を実現するために、新しい資本主義にさらに加速度をつけていく」と強調し、「補正予算によって、当面の物価高に対応しなければならない」と説明。また、デフレ脱却については岸田政権の経済政策の基本的な方向性を継承する考えを示しています。また、海外の生産拠点の国内回帰によって「雇用と所得の機会をつくっていく」と話し、デフレ脱却のために国内への設備投資を促す環境づくりが重要だとしています。

 

また、個人投資家の関心を集めている「金融所得課税の強化」については「NISAに代表される貯蓄から投資への流れは加速しなければならない」とし、「税制は公平公正であらねばならない。税制調査会で議論になるので総理が決めつけることはしない」と語っています。

 

 

 

投機筋のポジション、円買いが順調に増える

 

ヘッジファンドによる円売りポジションは7月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

ただ、27日(日本時間28日早朝)に発表された9月24日時点の建玉報告によると、投機筋の円の対米ドルポジションは6万6011枚の円買い越しとなり、前の週から9171枚増加。2016年10月以来の円買い越し=ドル円のショートとなっています。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合という重要イベントをこなしつつ、投機筋は円買いポジションを順調に増やしていることが分かります。

 

 

 

高市氏勝利を期待したポジションが含み損

 

SNS上では「自民党総裁選での石破氏勝利」への不満が多く聞かれます。高市氏勝利を期待した株買い・円売りポジションを持った投資家も多かったようです。26日のマーケットでは「三つ巴(石破・高市・小泉)となった末の決戦投票の組み合わせがどのようになっても、石破候補の当選はない」との前提で、かなり<<ご祝儀相場>>の足場固めが行われていただけに、海外勢も「日経平均とドル円の買い」ポジションを構築していたと思われます

 

その中の一人が私。26日にドル円を「144.655円」でロングしています。高市氏勝利と年末ラリーへの期待から、少しずつドル円を買っていこう、と思った矢先の出来事ですので、ロットは「1」週明け早々にロスカット予定です。

 

*IG証券より


ドル円の日足チャートを見ると、1年2カ月ぶりの安値139.58円という、分かりやすい下値目処が出来たことで、年末までは下げたところを少しずつ拾っていく戦略だったのですが・・・。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

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第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
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為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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