日々是売買~トレードへの道

第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」

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米長期金利、12月米CPI上振れも結局低下

 

昨日11日は米国の重要指標である12月米消費者物価指数(CPI)が発表されました。結果は前月比0.3%/前年比3.4%と予想の前月比0.2%/前年比3.2%を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.3%/前年比3.9%と前年比で予想を上回りました。

 

これを受けて、米10年債利回りは4.06%台まで上昇しましたが、米30年債入札が「好調」と受け止められると買い戻しが優勢となり=金利は低下しました。結局、節目の4%を割り込み3.96%台で引けています。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測は根強い」との指摘もあり、金利は低下し、株価は買い戻され、ドルは一転下落する結果となりました。

 

*Trading Viewより 


 

 

根強い楽観=早期利下げへの期待

 

米CPIの上振れを受けて、当初は「FRBが3月に利下げを開始するとの期待が後退する可能性がある」との声が聞かれました。ある市場関係者は「2%のインフレ目標に戻るまでの最後の道のりは、市場が予想しているよりも困難となる可能性がある」と指摘。マーケットも当初は金利上昇&ドル買い&株安で反応していました。

 

ただ、米30年債入札が堅調だったことも金利低下の要因ですが、根本的にはFRBの早期利下げへの期待が根強く、11日のNY午後に入ると金利低下&ドル安&株高の動きとなりました。

 

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを予想する確率は73.2%と前営業日の64.7%から上昇した。一方、金利据え置きを予想する確率は24.1%と前日の32.6%から低下しています。

 

*CME FedWatch Tool

 

市場の一部では「3月利下げ開始」への期待が高まっている現在の状況について「行き過ぎ」と警鐘を鳴らす向きもあります。今年のFOMCで投票権を有するメスター米クリーブランド連銀総裁は「12月CPIの結果は我々の仕事がまだ終わっていないことを示唆」「3月は利下げ時期としては恐らく早過ぎる」と述べ、市場の早期利下げ観測をけん制しています。

 

先週にはローガン米ダラス連銀総裁が「追加利上げの可能性をまだ排除するべきではない」と語ったほか、ボウマンFRB理事も「政策金利をさらに引き上げる用意がある」と指摘し、「警戒的な姿勢を保つ方針だ」と述べています。FRB高官からは過度な利下げを織り込むマーケットをいさめる発言が相次いでいます

 

 

 

ドル円、1カ月ぶり146円台乗せ

 

ドル円は昨年11月19日に151.91円と年初来高値を更新したあと、しばらくは下落トレンドが継続。12月28日には一時140.25円と7月28日以来5カ月ぶりの安値を付けました。ただ、そのあとは反発傾向が強まる格好となっており、昨日の米CPI上振れを受けて一時146.41円と昨年12月11日以来1カ月ぶりの高値を更新しました。

 

*Trading Viewより

 

もっとも、個人的にはこのあたり=146円台が戻り限界か?と予想しており、本日12日早朝に145.302円で追加ショートしています。

 

*IG証券より

 

これでポジションは昨年12月21日の「142.715円」、1月4日の「144.196円」、本日の「145.302円」で計3ロット。平均約定レートは「144.071円」となっています。つまりは含み損状態。ここからの下げを期待したいところです。

 

 

 

アナリスト調査では「ドル安進む」との見立てが大勢

 

昨年末から今日現在において、米大手ベンダーのブルームバーグが実施したアナリスト調査では、「ドル安が進む」との見立てが大勢を占めているといいます。モルガン・スタンレーはこれまで「強気」としてきたドルの見通しを「中立」に下方修正。米金利が低下するにつれて円は上昇するとみています。また、ヘッジファンドやゴールドマン・サックスなどを含む金融機関は昨年12月にドルに対して弱気姿勢に転換しています。

 

 

 

新NISAと日銀

 

一方で、足もとでは「新NISAが招く円安圧力」が話題になっています。今年から投資枠が増えた新たな少額投資非課税制度(NISA)。世界株や米国株などへの投資が増え、年間で約2兆円の円売りが増えるとの見方があります。実際、「信託銀行経由の円売り・ドル買いが目立ち始めている」との声も聞かれており、新NISAに絡んだ外貨需要を背景にドル円は下がりにくくなる可能性があります。

 

また、能登半島地震や実質賃金減少を受けて、日銀の早期政策修正観測が後退していることも円安要因となっています。米利下げと日銀の政策修正観測は依然として残りますが、市場関係者からは「130円を割り込むような円高・ドル安は想定しにくい」との声も。

 

なお、私が好きなテクニカルチャートである一目均衡表を見ると、今後の相場展開を占ううえで「今日から数日間が重要なポイントとなるのでは」と考えています。現在薄くなった一目均衡表の雲を上抜けるか、それともここまま上値を抑えられるか、重要なところではないでしょうか。


*Trading Viewより 

 


 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

 

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為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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