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米10年債利回り、7月27日以来の低水準
米長期金利の指標となる米10年債利回りは今週も低下傾向が継続。一時3.8835%前後と7月27日以来の低水準を付けました。10月には16年ぶりに5%を突破しましたが、その後は債券買い=金利低下が続いています。
特に重要だった米連邦公開市場委員会(FOMC)とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見。「市場で広がっている来年の利下げ観測を後押しする内容だった」との受け止めから、米金利が急低下する結果となりました。
米10年物利回りの日足チャート
*Trading Viewより
FRBは12-13日に開いたFOMCで市場予想通りFFレートの誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決めたと発表。政策金利見通し(ドット・チャート)では2024年末時点の中央値を5.125%(5.00-5.25%)から4.625%(4.50-4.75%)に下方修正し、来年3回の利下げを想定していることが示されました。
また、パウエルFRB議長は会見で「インフレは緩和したものの、依然として高すぎる」「FOMCは適切であれば追加引き締めの用意」としながらも、「きょうの会合で利下げのタイミングを協議した」「FOMCは現状維持が長すぎる場合のリスクを認識」などと話しました。
ドル円、140円台後半まで下落 7月31日以来安値
ドル円は今週発表の11月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回り、米国のインフレ鈍化を裏付ける内容だったことから売りが進行。FOMCの結果を受けて米利下げ観測が高まると、ドル全面安の展開となり、14日のアジア時間には一時140.97円と7月31日以来の安値を付けています。
ドル円の日足チャート
*Trading Viewより
振り返ってみると、ドル円が151円台後半と年初来高値を更新したことを受けて、神田真人財務官が「過度な変動に対しては、あらゆる手段を排除せず、適切な行動を取る。スタンバイだ」と発言して以降、円高・ドル安傾向が続いています。
その後のウォラーFRB理事の利下げに言及する発言や、植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と語ったことも円高・ドル安を後押ししており。今年最後のFOMCで「ダメ押し」となった印象です。
ドル円、140円割れが視野に
米長期金利が急低下する中で、為替市場では日米の短期金利差もいずれ縮小するとの受け止めから、円を調達しドルなどの高金利資産に振り向ける「円キャリー取引」に逆風との空気が広がっています。市場では「日銀による政策正常化の思惑から円買いを仕掛け続けている投機筋にとって、節目の140円を目指すための格好の燃料が投下された」との声が聞かれています。
もともとキャリー取引は利息収入が積み上がる前の逆回転に弱く、「今回のFOMCによって、既に積み上がっているキャリーの持ち高はより脆弱になる」といいます。日銀がマイナス金利の解除など金融政策の正常化に向かっているとの認識が広がる中、ドル円はさえない展開が続くと予想。戻りを売っていきたいところです。
ブルームバーグは事情に詳しい複数の関係者の話として「日銀は来週18-19日の金融政策決定会合で、政策正常化に急いで踏み出す必要性はほとんどないと認識している」と報じていますが、タイミングはともかく「日銀は金融政策の正常化に向かっている」というのが市場の共通認識。同社は「日銀は利上げで来年も世界の中銀で特異な存在に」と報じています。
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