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ドル円、2カ月半ぶりの安値 一時148円台
今週のドル円は軟調な展開となりました。19日に高田日銀審議委員が「もう一段のギアシフト、金融緩和度合いの更なる調整を進めることが必要」と発言したことを受けて、日銀の早期追加利上げ観測が改めて台頭。全般円買いが優勢となりました。
一方、今週発表された2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数、1月米景気先行指標総合指数、2月米サービス部門PMI速報値、2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)確報値、1月米中古住宅販売件数など、米経済指標が軒並み低調な内容となったことで、米景気の先行き懸念が広がり、ドル売りも優勢となりました。さらには、株価下落に伴うリスク回避の円買いも入ったようです。ドル円は一時148.93円と昨年12月3日以来約2カ月半ぶりの安値を更新しています。
*Trading Viewより
特に週末には米株式市場でダウ平均が一時820ドル超下落するなど、株価が軟調に推移。米指標悪化で景気減速を警戒した売りが広がったほか、市場では「中国でパンデミックの可能性がある新たなコロナウイルスが見つかり、株価急落につながった」「オプション満期による一時的なポジション整理が大半。機械的な売りが主因」との声が聞かれました。
*Trading Viewより
一部では「景気の減速と同時にインフレも加速する『スタグフレーション』が意識された」との指摘もありました。週末21日のダウ平均は前日比748ドル安となり、下げ幅は2024年12月中旬以来、約2カ月ぶりの大きさとなっています。
テクニカル的にも売りが出やすい
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、雲の上限156.29円、雲の下限153.76円、基準線152.84円、転換線151.86円を週末の終値(149.27円)で明確に下回っています。さらには200日移動平均線が位置する「152.60円」も週末終値でしっかりと下回っています。「テクニカル的にも売りが出やすい状況」であり、さらなる下落も想定されます。
200日移動平均線は重要な中期線として、機関投資家など多くの市場参加者が注目するポイントになっています。テクニカル的なサポートやレジスタンスとしてだけではなく、ここを中心に投資家心理も大きく変わってくると言われています。
*Trading Viewより
一方、下サイドでは昨年12月3日の安値148.65円がサポートとして意識されそうです。週末に148.93円と約2カ月半ぶりの安値を付けたあとは引けにかけては149.30円付近まで下げ渋っています。もっとも、ここを下抜けてしまうと、昨年9月16日の安値139.58円が視野に入ってくる可能性も・・・。
投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大
米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する建玉報告を見てみると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円のポジションは昨年7月2日に18万4223枚の円売り越し=ドル円のロングとなり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録しました。ただ、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが続き、9月24日時点の投機筋のポジションは6万6011枚の円買い越し=ドル円のショートとなり、2016年10月以来の高水準を付けました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
11月には6万4902枚の円売り越しに転じましたが、そのあとは再び円買いに傾いています。2月21日(日本時間22日早朝)に発表された2月18日時点の建玉報告によると、投機筋のポジションは6万569枚の円買い越しと前の週から5954枚増加し、9月24日時点の6万6011枚の円買い越しに迫っています。日銀の早期追加利上げ観測や米景気減速懸念などを背景に、投機筋が円買いポジションを積み上げたことが想像できます。
日本が3連休中の週明け24日の取引に注意し、来週28日の重要イベント、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している1月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)の結果などを見極める必要がありそうです。なお、来週は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や米仏首脳会談、米英首脳会談などがあり、トランプ関税を巡る報道・発言などにも引き続き注意が必要です。
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