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結局はドル安に
ドル円は今月5日に141.70円と1月2日以来の安値まで急落し、「セリング・クライマックス」的な動きを演出し、そのあとは戻りを試す展開となっていました。15日には149.39円まで買い戻される場面がありました。
ただ、今週は再び弱含む展開となりました。SNS上では「二番底なんてない」との声も聞かれていましたが、昨日23日には144.05円まで値を下げています。今週注目材料の一つであった「米労働省が公表した雇用統計の年次改定」ですが、21日の公表前から「下方修正する」との観測が広がっており、事前に米金利の低下やドル安が進んでいました。「3月までの年間雇用者数の伸びが現在の推定から少なくとも60万人下方修正される」との見方が多く、一部では「100万人規模の改定もあり得る」との指摘があり、これを織り込む格好となっていました。
実際に公表日である21日を迎えると「予定より30分以上遅れて発表された」こともあって、マーケットは荒い動きとなりつつも、結局はドル安に。何とも神経質な動きとなりました。
そして、週末23日には一番の注目材料である「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のジャクソンホール会議で講演」がありました。パウエル議長は講演で「政策を調整する時が来た」「インフレ率が2%への軌道にあるとの確信強めた」と述べたほか、「労働市場がこれ以上減速することを歓迎しない」などと発言。市場では「9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始をほぼ明言した」と受け止められ、ドルを売る動きが広がりました。
*Trading Viewより
マーケットはFRBの利下げ観測をかなり織り込んでいましたが、パウエル議長からの明確で直接的な発言を求めていたことも事実。そのため、この「明確で直接的なハト派的な発言」が米金利低下・株高・ドル安をさらに加速させた面もありました。市場関係者からは「注目されたのは『インフレの上振れリスクは軽減した』として、物価の安定と雇用の最大化という二大責務に焦点を移していると語ったことだ。『FRBはこれ以上の労働市場の軟化を望まない』と述べたことも、利下げ幅が市場の想定よりも大きくなることを意識させた」との声が聞かれてました。
*CME FedWatch Toolより
FRBが次回9月のFOMCで0.50%の利下げに踏み切るとの市場予想は前日の24%程度から36.5%程度に上昇しています。
投機筋のポジション、先週から依然として円買い越し
ヘッジファンドによる円売りポジションは先月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
ただ、昨日23日(日本時間24日早朝)に発表された8月20日時点の建玉報告によると、投機筋の円の対米ドルポジションは2万3585枚の円買い越し=ドル円のショートになったまま。13日の時点で2021年2月以来の円買い越しに転じていましたが、その状態がまだ続いています。
一部では「人気の円キャリートレードは徐々に復活しつつあるようだ」との声も聞かれていましたが、データでは確認できていません。日経新聞が関係者の話として報じたところによると、「ヘッジファンドなど投機筋の円キャリー取引が本格的に再開された様子は確認できない」といいます。また、「投機筋が円買い越しに転じたことの意味。それは今後、円キャリー取引解消に伴う円買い戻しではなく、新たな円買いポジション構築の方が円高圧力を生む事態もあり得るからだ」と指摘する向きもありました。
週足の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の週足の一目均衡表チャートを見ると、再び週足終値で雲の上限「145.97円」を下回り、雲の中に入り込んだことが分かります。テクニカル的には戻りが鈍い状況となっており、二番底を確認する可能性は高そうです。
*Trading Viewより
もっとも、「二番底」はチャートの安値圏で2回、同程度の安値を付けることで、ダブルボトムとも言われます。二重底を形成した後、その水準を下回ることなく二つの安値の間にある高値=ネックラインを上回った場合は「買いのサイン」=「底入れのタイミング」とされています。となるならば、ドル円は引き続き押し目を狙っていきたいところです。
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