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ドル円、5カ月ぶり安値 一時146円台
今週もドル円は軟調な展開となりました。週明け3日こそ、欧州の西側諸国首脳が週末にウクライナへの支持を改めて表明したことや、「英仏とウクライナで停戦案を作成したうえで米国に提示する」「欧州首脳らは停戦後のウクライナの安全保障に向けて有志国連合の協議を始めた」と報じられたことで、ウクライナ情勢に対する過度な懸念が後退。日経平均が600円超上昇したほか、英国やドイツの株価指数が最高値を更新。ドル円にも買いが入り151.02円まで値を上げました。
ただ、その後はさえない展開に。米政権による関税強化をきっかけに貿易摩擦が激化するとの懸念が高まると、世界的に株価が下落。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが優勢となりました。市場はトランプ米大統領の発言に振り回される状況。「関税を巡る状況が二転三転しており、予測不能性が大きな懸念につながっている」との声が聞かれています。
そして、週末7日には『月に一度のビッグイベント』である米雇用統計。米労働省が発表した2月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比15.1万人増と予想の16.0万人増を下回り、失業率が4.1%と予想の4.0%より弱い結果となりました。これを受けて円買い・ドル売りが進むと、一時146.95円と昨年10月4日以来約5カ月ぶりの安値を付けています。
*Trading Viewより
加えて、今週6日には日本の連合が公表した2025年春闘の賃上げ要求が32年ぶりに6%を上回ったことが判明。高水準の賃上げ要求を受けて、市場では「日銀が早期に追加利上げに動く」との観測が高まり、円買いが広がりました。
ただ、7日には米大手ベンダーが「日銀は今月18-19日に開催する金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決める公算が大きい。1月に利上げしたばかりであるほか、世界経済の不確実性が増しているとの考えが背景」と報じています。今後、日銀絡みの観測報道次第では相場が大きく動く可能性がありそうです。
投機筋の円買いポジション、過去最大の13万枚超え
米商品先物取引委員会(CFTC)が3月7日(日本時間8日早朝)に発表した3月4日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は13万3651枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から3万7671枚増え、2週連続で過去最大の大きさとなったことが分かりました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが目立ちました。そして、先週は9万5980枚の円買い越しとなり、過去最大を記録。今週はその水準を突破し、統計開始以来、最大の円買いポジションを更新しています。日銀の早期追加利上げ観測や米景気減速懸念などを背景に、投機筋が円買いポジションを積み上げたことが分かります。
内訳をみても、円ロング=18万3955枚、円ショート=5万304枚となっており、投機筋の円ロングは最大です。
*CFTC HPより
行き過ぎた「ポジションの偏り」に警鐘鳴らす
東海東京インテリジェンス・ラボでは為替に関するリポートの中で、「投機筋が円買いポジションの解消に動けば、ドル円を5円程度押し上げる原動力にもなり得る」とコメントしています。他の市場関係者からも「中長期的には155-160円程度の円安に戻る」「日銀の利上げ観測が高まりきったあとに160円を突破する可能性もある」との見立てが聞かれています。
日米金利差は依然として4%近く開きがあります。ドル円のショートを維持するためにはこの金利差分の金利を毎日支払わなければなりません。「何かしらがきっかけで、円買いポジション解消に伴う急速な円安・ドル高圧力が生じる可能性もある」といいます。きっかけがなくとも、今後円高が進みにくいとなれば、ポジション解消の動きが突如広がる可能性も。行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動で円安方向に大きく動く可能性があることに留意しながら、ドル円は押し目買いを狙っていきたいところです。
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