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ドル円、5カ月ぶり安値 一時146.54円
今週のドル円は下げ渋る展開となりました。米国株の大幅下落などを見る限りでは、むしろ「底堅かった」との印象です。
週前半こそ、トランプ米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まる中、ダウ平均が一時1100ドル超の急落。米国株相場の大幅下落を背景に、投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが優勢となりました。11日の東京市場でも日経平均が一時1000円超の急落となり、ドル円は一時146.54円と昨年10月以来約5カ月ぶりの安値を更新しました。
*Trading Viewより
ただ、そのあとはドル円の下値の堅さが目立ちました。鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に課す25%の追加関税を発動したトランプ米政権に対抗し、EUとカナダは対米報復関税を発表。世界的な貿易戦争が一段と激化するとの懸念から米国株は引き続き軟調に推移。さらには、ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたことがドルの重しとなりました。
それでも、ドル円は下げず。投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りを警戒する向きが増える中、ショートカバーが進みやすい状況でした。12日には2月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったにもかかわらず、指標発表後に149.19円まで上昇する場面がありました。なお、米CPIに続き、翌13日の2月米卸売物価指数(PPI)も下振れましたが、市場では「関税引き上げの影響はこれからで、安心する声は少ない」との声が聞かれました。
投機筋の円買いポジション、僅かながらも過去最大を更新
米商品先物取引委員会(CFTC)が3月14日(日本時間15日早朝)に発表した3月11日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は13万3902枚の円買い越し(ドル円のショート)と前週から251枚増え、3週連続で過去最大の大きさとなったことが分かりました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが目立ちました。そして、先週は一気に10万枚の大台を突破し、13万枚の円買い越しに。今週はその水準を僅かながら更新し、統計開始以来、最大の円買いポジションとなりました。
ただ、内訳をみてみると、円ロング=17万6790枚、円ショート=4万2888枚となっており、ポジション自体はロングもショートも縮小し、ネットで円ロングが増えたことが分かります。
*CFTC HPより
来るか!?行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動
今週のドル円の動きを見る限り、投機筋の円買いには「息切れ」を感じます。日米金利差は依然として4%近く開きがあり、ドル円のショートを維持するためにはこの金利差分の金利を毎日支払わなければなりません。何かしらの材料がきっかけで円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力が生じる可能性もありますし、きっかけがなくとも今後円高が進みにくいとなれば、ポジション解消の動きが突如広がることが想定されます。
行き過ぎた「ポジションの偏り」の反動で円安方向に大きく動く可能性があることに留意しながら、ドル円はそろそろ押し目を拾っていきたいところ。市場関係者からは「円高進行が見込みにくくなると円買い解消の動きが大きくなりやすい。短期的には145円台まで円高が進む可能性もあるが、長期的な円高トレンドへと転換したわけではないだろう」との声が聞かれました。
*Trading Viewより
なお、ドル円の一目均衡表チャートを見ると、転換線(148.36円)を週末の終値(148.64円)でようやく上回りました。「ドル円は二転三転しているトランプ関税や米国株の大幅な調整売りといったリスク・オフをこなしながら、下値を固めつつある。終値ベースでの転換線上抜けといったチャート上でのサインを確認出来るのであれば、コストのかかるショートポジションを敢えてキープする意味合いも薄れてくる」との指摘もありました。
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