日々是売買~トレードへの道

第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」

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ドル円、先週の急落から戻りを試す展開

 

ドル円は先週5日に141.70円と1月2日以来の安値まで急落し、「セリング・クライマックス」的な動きを演出しましたが、今週は戻りを試す展開となりました。今週発表された米経済指標は、インフレの鈍化基調を示す一方、労働市場や個人消費の底堅さを示唆する内容となり、市場では景気後退(リセッション)懸念が大きく後退。米連邦準備理事会(FRB)が9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.50%の大幅利下げを行うとの観測は後退しましたが、0.25%の利下げをほぼ完全に織り込む形に。

 

今週の米国株市場でダウ平均は4日連続、ナスダックは7日連続で上昇しました。ドル円は株高などを受けて投資家のリスク回避姿勢が後退。円安が進む格好となりました。15日には米小売指標の上振れと米株高を受けて149.39円まで急伸しています

 

*Trading Viewより

 

来週は21日にFOMC議事要旨(7月30-31日開催分)が公表されるほか、22-24日にかけては市場の注目が集まる米カンザスシティー連銀主催のシンポジウム『ジャクソンホール会議』が開催されます。テーマは「金融政策の有効性と伝達の再評価」。

  

同会議ではパウエルFRB議長が講演を予定しており、金融政策に関する手掛かりを模索する投資家の注目を集めています。講演は日本時間23日23時となっており、日本は金曜日の遅い時間=花金(TGIF)。ポジションを持つ場合やトレードをする際には注意が必要となってきます。

 

 

 

 

投機筋のポジション、まさかの円買い越しに転換

 

ヘッジファンドによる円売りポジションは先月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

ただ、昨日8月16日(日本時間17日早朝)に発表された8月13日時点の建玉報告によると、投機筋の円の対米ドルポジションは2万3104枚の円買い越し=ドル円のショートに転じたことが分かりました。これは2021年2月以来。市場関係者からは「選好されてきた円キャリートレードが為替市場の急変動で巻き戻しを余儀なくされ、ヘッジファンドの円ポジションが2021年以降で初めて強気に転じた」「日銀が利上げを継続するとの観測に絡み円高が急速に進んだ後、ポジショニングが変化した。その後、金融当局者が沈静化を促す発言を行ったが、相場の急変動に見舞われた投資家はキャリートレードを解消せざるを得なくなった」との声が聞かれました。

 

半面、「人気の円キャリートレードは徐々に復活しつつあるようだ」との声も聞かれます。データが集計されたあとの15日である米小売売上高の発表後に「キャリートレードへの注目すべき回帰が見られている。複数のアカウントから豪ドル円やポンド円の買いが入っている」「さまざまな投資家が円で調達した資金を他の高利回り資産に投資し始める動きが見られる」と言います。

 

 

 

週足の一目均衡表チャートを見ると

 

また、ドル円の週足の一目均衡表チャートを見ると、テクニカル的にもいったんは底打ちか?と思わせる値動きになっています。先週の「セリング・クライマックス」的な動きの後である今週。非常に大事な週足で「雲の下限140.77円」「上限145.83円」をしっかりとキープしています。ここを維持する間は押し目を狙っていきたいと思います。

 

*Trading Viewより 


 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
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第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
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第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
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第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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