日々是売買~トレードへの道

第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

当コラムでは「IG証券」デモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。なお、「IG証券」では「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。

 

 

まずは基本のFXで勝負

 

今週は日本、米国、欧州の中央銀行(BOJ・FRB・ECB)の金融政策を決める会合が相次ぐ、いわゆる「中銀ウイーク」でした。決定の中身や会見の内容によっては金融市場に大きな影響が出るだけに、私たち個人投資家にとっても動きにくい1週間でしたね。

 

さて、これらの重要イベントを通過して、さっそくとった私のポジションは「ドル円のショート」。約定レートは「140.757円」、ロットは「10」


*IG証券より


自分の取ったポジションがチャート上で確認できるのは非常に便利ですね。ストップロスは「142円」に設定しており、これもチャートで確認できるのでとても分かりやすい仕様です。

 

1.ツイッターでの情報収集が可能

2.リアルタイムのレート

3.ポジションを取った位置とロット数(1ロット=10000通貨)

4.設定したストップの位置

5.保有ポジション

 

 

 

FRB利上げサイクル終了との観測が高まる

 

米連邦準備理事会(FRB)は25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通り0.25%の利上げを実施しました。声明では「追加の情報と金融政策への意味を引き続き評価する」としたうえで、「徐々にインフレ率を2%に戻すために適切とみられる追加的な金融政策の引き締めの程度を決めるに当たり、金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する」との前回会合までの表現を踏襲しました。

 

ただ、パウエルFRB議長が会見で「将来の利上げについてはデータを重視したアプローチをとる」「9月利上げはデータ次第」「今後も会議ごとに決定を下していく」と発言すると、米利上げサイクルが終了するとの観測が高まり、米金利とドル安が進みました。

 

 

さらに本日28日には米インフレ鈍化を示す経済指標が相次ぎました。FRBが金融政策を判断するうえで重視している6月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが前年比4.1%上昇と予想の4.2%を下回り、賃金インフレの動向をみる上で重要な4-6月期米雇用コスト指数も前期比1.0%上昇と予想の1.1%上昇を下回りました。

 

このPCEコアデフレーターCPIよりも重要で、FOMC参加者の経済見通し(SEP)ではこの数値がターゲットになっています。

 

*FRBのホームページより

 

SEPを見るとPCEコアデフレーターは3.9%まで低下しなければならないことになりますが、先月時点までは4.6%もあったため、私も「まだまだ利上げは続く」と思っていました。しかしながら、今回はそれが4.1%まで急速に鈍化し、目標まではあと2ポイントに迫っています。

 

市場では「PCEが大きく鈍化したことで、FRBが1980年以来の急ピッチで進めてきた今回の利上げ局面が終了に近づくとみられる」「一段の進展が必要ではあるものの、インフレは鈍化しており、FRBが9月に再利上げを決定する公算は小さくなった」との声が聞かれました。

 

 

 

日銀はYCC運用を見直し

 

日銀は27-28日開いた金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を見直しました。新発10年債などを無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)について、実施する利回り水準を0.5%から1%に引き上げました。長期金利の変動幅は±0.5%程度からほとんど変えずあくまで金融緩和継続というメッセージを示していますが、市場では「事実上の変動幅拡大」との指摘がありました。

 

なお、元日銀審議委員の片岡剛士氏は「±0.5%の変動幅は維持しながら、従来の0.5%ではなく、1%で指値オペを打つという柔軟化。上限1%までは許容するものの、それ未満の水準であれば長期金利は自由に動いて良い」と説明してます。

 

*Trading Viewより

 

この結果が伝わった直後は日本株もドル円もかなり乱高下しました。ドル円は短時間で141.07円から138.07円まで急落しています。もっとも、海外市場に入ると買い戻しが強まり、いわゆる全戻しとなっています。

 

 


今回の日銀の決定は事実上の長期金利の上限引き上げであり、実質的にYCC撤廃に近いものと考えています。さらに米インフレ鈍化が進む中、FRBの利上げ打ち止めは近いとの見方が広がっていることから、ドル円はショートで攻めてみました。なお、BNYメロン・インベストメント・マネジメントは昨日、「ドル円は年内に130円台半ばまで円高が進む」と指摘してます。




【免責事項・注意事項】

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。


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第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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