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政府・日銀、為替介入を2回実施!?
先週はゴールデンウイーク(GW)真っ只中にあったにもかかわらず、為替市場では「円買い介入」「米連邦公開市場委員会(FOMC)」「4月米雇用統計」というビッグイベントが相次ぎました。
ドル円は東京市場が祝日の4月29日の週開け月曜日には薄商いの中で、一時160.17円と1990年4月以来34年ぶりの高値を付けましたが、13時過ぎには「政府・日銀が急激な円安を阻止するため、為替介入に踏み切った」との観測で、夕刻には154.54円まで急落しました。
また、1日のFOMC後の日本時間5時過ぎにも為替介入をみられる円買い・ドル売りが入ると節目の157円や156円、155円、154円を次々と下抜けて一時153.04円まで大幅に値を下げています。
*Trading Viewより
市場関係者の間ではすでに「政府・日銀が合わせて8兆円規模の為替介入を実施した」との観測が広がっていますが、今週8日にはテレビ東京が政府関係者の話として「政府・日銀は4月29日と5月2日の2回にわたって、為替介入を行ったことを認めた」と報じています。もっとも、「円安に歯止めをかける効果は一時的で、今後も円安基調が続く」との見方は根強く、昨日9日には155.95円まで値を戻しています。
投機筋との攻防は長期化の可能性
一方、ヘッジファンドによる円売りポジションは依然として高水準を維持しています。米商品先物取引委員会(CFTC)が4月26日に発表した4月23日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは17万9919枚とその前の週から1万4300枚増加しました。これは2007年6月(18万8077枚)以来の高水準であり、円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。
1回目の介入が実施されたあとである4月30日時点の建玉報告では16万8388枚とその週から1万1531枚減少しましたが、それでも投機筋の円売りポジションはまだまだ高水準を維持していると言えます。本日10日には2回目の介入後のポジションも判明しますが、そう大きくは解消されてはいないのではないでしょうか。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
日米の金利差は解消していないため、ドル円が一時的に下落しても「円売り・ドル買い」が優勢であることに変わりはありません。ある市場関係者は「円安が収まらない中で急変動が起きれば、今後も介入を繰り返す可能性もある」としたうえで、「円売りを仕掛ける投機筋との攻防は長期化する可能性もある」と指摘。
さらに、「長期戦になれば、介入に必要なドル資産がどれだけ残っているかが焦点になる。2022年10月に実施した介入では1日で5.6兆円分のドルを売却した。元手となる外貨準備は3月末で1兆2906億ドルあるものの、介入に使えるのは50-60兆円で“資金枯渇の懸念”もある」との見方が出ています。
SMBC日興証券は「即座に活用できる現預金と処分しやすい短期債を合わせた3000億ドル=約45兆円が介入資金の上限」と試算しており、「政府・日銀と、介入資金の残額を計算する投機筋との神経戦が激しくなりそうだ」と指摘しています。
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