日々是売買~トレードへの道

第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」

当コラムでは「IG証券」のデモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。「IG証券」は「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。

 

 

 

米10年債利回り、2カ月半ぶりの低水準

 

米長期金利の指標となる米10年債利回りは今週も低下傾向が継続一時4.24%台と9月中旬以来約2カ月半ぶりの低水準を付けました。10月には16年ぶりに5%を突破しましたが、その後はハト派よりの内容となった米連邦公開市場委員会(FOMC)や10月米消費者物価指数(CPI)の下振れなどがあり、債券買い=金利は低下となっています。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルは終了した」との見方が益々広がっています。

 

今週で言えば、ウォラーFRB理事が「政策が好位置にあるとの確信を強めている」「インフレ率がさらに数カ月間低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある」などと発言し、利下げの可能性に言及したことが話題に。市場では「米利上げ局面の終了や来年以降の利下げの可能性が意識された」との声も聞かれています。

 

*Trading Viewより


また、米商務省が発表した7-9月期米国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比5.2%増と速報値の4.9%増から上方修正され、予想の5.0%増を上回りましたが、米経済活動の3分の2超を占める個人消費が3.6%増と予想の4.0%増を下回ったほか、FRBが物価の目安として注目する食料とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)指数が2.3%上昇と予想の2.4%上昇を下回ったことも金利低下につながっています。

 

さらには、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動は前回の報告書以降減速した」との認識が示されたほか、物価上昇について「地区全体でほぼ緩やかになったが、依然として高止まりしている」しながらも、労働需要については「引き続き緩和した」と伝わったことも意識されたようです。

 

 

 

米国債(CFD)のロングは利食い

 

10月に入り、米国10年国債先物($10)=CFDを「1」ロット、「10741.8」でロングしましたが、今週ついに利益を確定することができました。一時は「▲1977ドル(▲29万6000円程度)」とかなりの含み損になり、つらい日々を過ごす場面もありましたが、結果は「10951」で利食いし、「約30万7000円のプラス」となりました。

 

*IG証券より

 

今後も米金利の低下傾向に変化はないと予想していますが、ウォラーFRB理事の発言を巡り、「火消」するような発言もありました。昨日にはデイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「現時点では利下げについて全く考えていない」「FRBが利上げを完了したかどうかを考えるのは時期尚早」と述べたほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「景気抑制的な金融政策はかなりの期間続くと想定」「インフレ圧力が続けば再び利上げの可能性もある」などと発言しています。


 

 

パウエルFRB議長の発言を控えて

 

本日は日本時間2日1時にパウエルFRB議長の発言が予定されています。FOMC前で経済や政策見通しに関する発言を禁じられる「ブラックアウト期間」に入る前とあって、注目が集まっています。「マーケットは米利下げを織り込み過ぎ」との認識もあるでしょうから、普通に考えれば、パウエル議長もウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁と同様の発言を繰り返すと思われます。つまり、ウォラーFRB理事のような「ハト派発言」はないと想定されます。念のための、ポジション解消とも言えます。

 

 


 

米著名投資家のビル・アックマン氏

 

なお、米金利上昇を止めた男として一時期話題になった米著名投資家のビル・アックマン氏は今週、「FRBは市場の予想よりもずっと早く利下げを開始しなければ、経済はハードランディングのリスクに直面すると予想している」と発言しています。マーケットで広く予想されているFRBの2024年6月利下げに対して、「第1四半期に利下げを開始する可能性がある」としています。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

 

この連載の一覧
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

中村 知博の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております