特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2024年7月に取り上げたアイシン(7259)の値動きを振り返ります。
1カ月後の株価はプラスも・・・
8月16日の終値は5115円でした。売出価格は5092円でしたので、値動きを見た1カ月では23円の上昇となりました。50万9200円が51万1500円となり、23円×100株で2300円の上昇(手数料・税金は考慮せず)、上昇率は0.5%となりました。
ただ、売出価格の5092円は7月8日の終値5250円から3.01%のディスカウントがされています。市場よりも安く買えた分、マイナスにはならなかった程度の動きにとどまりました。
円高・株安が自動車関連に強い逆風
それでは、この間の値動きを見ていきましょう。
まず、受渡日となる7月16日ですが、この日は前日比2円安と値幅はそれほど出ませんでしたが、出来高が急増しました。この日の出来高は1195万2900株でした。前営業日の7月12日は192万500株でしたので、6倍以上の出来高となっています。
以降の株価はしばらく下値模索が続きました。この間は日本株全体が軟調に推移しており、円高も進行していましたので、自動車関連には非常に厳しい流れとなりました。
8月に入ると日本株の下げが加速し、8月5日に日経平均株価は4451円安と歴代最大の下げ幅を記録しました。この日はストップ安銘柄が続出した日で、アイシン株もストップ安となっています。
6日以降は日本株が切り返してきましたので歩調を合わせて反転し、8月16日には終値で5000円を上回りました。この間の高値は7月17日の5427円、安値は8月5日の4188円となっています。
目先は売出価格が上値を抑える可能性も
今回、値動きを見た期間では小幅ながら上昇しました。日経平均が歴史的な暴落を記録していますので、プラスというのは健闘しています。安く買えるということはリスクを小さくすることにつながります。長期で応援したいと思える銘柄が売り出しを発表した時などは、購入を検討する良い機会が到来したと言えるでしょう。
ただし、市場よりも安く買えるからといって、必ず儲かるわけではありません。また、短期的には売出価格が株価の上値を抑えることもよくあります。アイシンに関しては、8月21日の終値は4997円と5000円を割り込んでいます。売り出しで取得した投資家からすれば、5092円で取得した後、一時的とはいえ4188円まで下落していますので、「戻してくれば損のないところで売りたい」という気持ちも出てきます。
5092円を大きく上回ってくれば、「慌てて売る必要はない」とじっくり構える投資家が増えてくることが期待できます。一方、いったん5092円を上回ったにもかかわらず、改めての売りに押されて5000円より下が定着してしまうと、売りが売りを呼ぶ悪循環に陥るリスクもあります。売出価格の5092円から大きく水準を切り下げることなく推移できるかどうかが、今後のアイシン株を見る上では重要となってきます。