特定の銘柄の値動きを追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」今回はJR東海を取り上げます。証券コードは9022で、東証プライムに上場しています。ちなみに、JR東海は略称で、正式名称は東海旅客鉄道となります。
1:5の株式分割を発表
JR東海は2023年8月22日に、1:5の株式分割を発表しました。来月が分割の権利確定月となり、権利取りの最終日は9月28日(木)となります。
8月29日の終値は18365円でした。100株単位ですので最低単位の購入には現時点では200万円弱の資金が必要となります。5で割ると3673円となりますので、ざっくり40万円弱に引き下げられることになります。
分割発表に株価も好反応
足元の株価は堅調です。分割発表翌日の8月23日も、リリースを好感した買いが入りました。7月31日につけた年初来高値の18570円に接近したところでは上昇一服感が見られるものの、高値圏で推移しています。
中期では上昇トレンドが続く
値がさ株の大幅分割に関しては、以前に任天堂(7974)を取り上げました。
当時の任天堂は1:10の分割を発表。分割の権利を取れる日を挟んで2022年9月13日から10月13日までの1カ月の株価にフォーカスしましたが、分割を考慮した9月13日の株価が6221円、10月13日の株価が6030円で、この期間では3%程度の下落となりました。
最近は値がさ株の大型分割が相次いでいますし、分割後には従来からの保有者が売りやすくなって需給の悪化も警戒されますので、分割それ自体が買い材料になるとは限りません。
ただ、当時の任天堂は、分割発表前の株価が下げ基調にありました。一方、足元のJR東海株は上昇トレンドにあります。一般的に、株価が弱い動きとなっている状況では、多くの投資家が買いを急ぐ必要はないと考えます。一方で、強い動きとなっている状況では、早く買っておかないと上がってしまうと考えます。安定した業績が期待できる業種ではありますし、資産株として好まれるタイプの銘柄でもあります。
株主優待の対象月は3月
8月29日の終値は18365円で、今回はここで購入したと仮定して、1カ月後、9月29日の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。なお、9月29日は5分の1となった初日となりますので、8月29日の株価は3673円(18365÷5)として計算します。
鉄道株は株主優待に対する人気が高く、JR東海も優待として株主優待割引券を発行しています。ただ、優待に関しては3月時点の株主が対象となります。そのため、9月の権利を取っても優待は取得できません。なお、5分割した後は、従来であれば100株の保有で取得できた株主優待割引券は500株の保有が必要となります。ただし、今回の分割と併せて長期保有株主に向けた新たな優待制度の導入を発表しており、継続して3年以上保有すれば優待券が1枚発行されるとのことです。同社の優待は保有株数に応じて割引券の発行枚数も変わってきますので、詳細については会社のホームページをご確認ください。
配当に関しては会社は中間期では70円を予定しています。2024年3月の時点では分割しているので14円(70円÷5)を予定していますが、予想配当利回りは通年でも1%以下(2023年8月29日時点では0.76%)ですので、配当落ちの影響に関しては軽微と予想されます。
9月は多くの銘柄が半期の権利確定月となりますので、実需買いが入ることへの期待が高い月となります。また、行楽シーズンで祝日もありますので、旅行需要が高まりやすい月でもあります。1カ月先の水準について「上昇基調が続きそう」「分割後の売り需要が警戒されてどこかで売られそう」「強気と弱気、両方の見方が交錯して乱高下しそう」など、ご自身なりのイメージを持ってみて、ここからの値動きに注目してみてください。
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