あの銘柄を買ってみた!

あの銘柄を買ってみた!~任天堂編~

株式を買ったと仮定して、その値動きを検証する企画、「あの銘柄を買ってみた!」今回はゲーム大手の任天堂を取り上げます。証券コードは7974、東証プライムに上場しています。


今では2017年に発売された「Nintendo Switch」が人気ですが、1983年に発売された「ファミリーコンピュータ」は、日本の家庭用ゲームの歴史を大きく変える爆発的なヒットとなりました。ちなみに祖業は花札です。1889年 (明治22年)に山内房治郎氏が花札の製造を開始したところから、任天堂の歴史が始まっています。(会社HPを参考)


「スプラトゥーン3」に大ヒットの予兆


9月12日にはSwitch向けソフト「スプラトゥーン3」の国内販売本数が、発売後3日間で345万本を突破したとの会社発表がありました。これはこの期間の過去最高であったとのことです。翌13日の株価は大幅高となり、終値は前日比3250円高(+5.5%)の6万2210円となりました。今回は、ここから1カ月の値動きを追跡します。


任天堂と言えば、コロナ禍において「あつまれ 動物の森」がコミュニティーツールとしてロングランヒットとなりました。また、同社が米ゲームベンチャーと共同開発したスマホゲーム「ポケモンGO」は社会現象となり、同社株も2016年には大相場を演じました。ゲームでブームを作ることのできる企業だけに、今回の新作ゲームの初動販売の強さは注目されます。


1:10の株式分割を発表


現時点では任天堂株を購入するのに、最低でも600万円近く必要となります。ただ、もう少しすると、この水準が大きく引き下がります。


同社は1:10の株式分割を発表しています。基準日は2022 年9 月30 日(金)で、分割の権利が付与されるのは、9月28日(水)までの保有者となります。そして、9月29日(木)に水準が切り下がります。


≪株式分割に対する考え方≫

※9月28日の終値が60000円であったと仮定した場合

この時点で100株保有していた投資家の株数は9月29日に1000株となり

株価は理論上は9月29日に10分の1の6000円からスタートします。

保有資産の水準は変わりません。

分割前:6万円×100株=600万円

分割後:6000円×1000株=600万円


なお、任天堂は3月決算銘柄で、9月は上期の配当権利確定月となります。23.3期の配当は上期、期末とも未定(9月13日時点)となっていますが、前22.3期は上期620円、期末1410円、年間2030円の配当が実施されました。権利落ちの際には、前上期分の10分の1くらいの水準は切り下がることになると思われます。


買いやすくなれば上昇する?


株式分割それ自体は株価への影響はニュートラルです。ただ、これまで600万円近い資金は出せなかったけど、60万円くらいであれば買いたいと思う投資家が多くいた場合には、水準が切り下がったところで買いが入ることが期待できます。


ただし、買いやすくなるということは売りやすくなることと表裏一体です。仮に任天堂が3万円の時に100株(3万円×100株=300万円)買った人がいて、分割時点で6万円になっていたとします。100株しか持っていない場合には、それを売れば利益は出ますが、株式はなくなります。しかし、分割して1000株になると、500株を売却すれば、投資金額をまるまる回収(500株×6万円=300万円)できる(税金や手数料の影響は除きます)上に、株式も500株残ります。今回のような1:10といった大型の株式分割の場合、長く保有して含み益が十分にある投資家が需給悪化を嫌う、一部を現金化(利益確定)するといった理由で、保有株を手放すといった動きが出てくることも予想されます。


分割発表後の株価は一進一退


株式分割は2022年5月に発表されました。その直前まで任天堂の株価は下げ基調が続いていましたが、発表を契機に反転しています。しかし、6万円近辺では上値が重くなっており、以降は上げては下げてといった動きを繰り返しています。


新作ゲームに関するリリースで9月13日には久々に6万円台を回復しましたが、直近の高値水準まで戻してきましたので、ここでやれやれ売りに押されることなく買いが続くかが焦点となります。



ここから1カ月(9/13~10/13)の間には決算発表は予定されていませんので、会社からの上方修正や証券会社のレポートなどがなければ、業績に対する期待値は大きく変わりません。


ただし、「スプラトゥーン3」に関するニュースが株価を大きく動かしましたので、この先、当ゲームに関する続報があれば、それが業績期待を高める材料になる可能性はあります。また、10月8日(土)~9日(日)にかけては音楽ライブやゲーム体験などを楽しめる「Nintendo Live」が3年ぶりに開催(東京ビッグサイトにて)予定ですので、目先は同社に関するニュースを多く目にすることが増えそうです。


分割直後に買ったパターンも検証します


今回は、注目度の高い銘柄の株式分割が株価にどう影響するかを確認する目的で、任天堂を取り上げました。


任天堂の9月13日の終値は6万2210円で、最低単位の購入には622万1000円が必要(手数料等は考慮せず)となります。1カ月後、10月13日(木)の終値と見比べます。ただ、この時点では分割をしていますので、10分の1水準の6221円と比較することとします。なお、実際に購入した場合には配当分を考慮する必要がありますが、振り返りの時点では配当額が確定していない可能性が高いため、ここでは単純に終値のみの比較とします。毎度の繰り返しとはなりますが、任天堂を推奨するコンテンツではありませんので、その点はご注意ください。


「スプラトゥーン3が面白そうだから上がりそう」「任天堂なら水準が切り下がったところで資産株として組み入れる人が多そう」「ゲームを材料に買われても、分割で大量売りに押されて失速しそう」「このチャートでは買えないよ」色々な見方があるかと思います。株式投資に関しては、自分なりの予測を立てて、その見方が正しかったかそうでなかったかを後日検証することが、大きな糧となります。


また、今回は購入時と1カ月後の最低購入金額が大きく変わってきますので、振り返りの際には、権利落ちとなる9月29日(木)の寄り付きで買いを入れた場合のパターンも検証することにします。安くなることを待って買った場合に、約2週間後にどういった動きになっているかの振り返りとなります。1カ月後と併せて、こちらの方もどういった動きになりそうかを、ご自身の中でイメージしてみてください。




≪結果はこちら↓≫

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日本株情報部 アナリスト

小松 弘和

証券会社、外資系生命保険会社、大手出版社マネーサイトの株式分析アナリスト、FX会社勤務を経て2014年に入社。金融全般に精通。2級FP技能士。 「トレーダーズ・プレミアム」では、「個別株戦略」「Market Flash」などのコンテンツやニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 日経CNBC「朝エクスプレス『証券中継』」(隔週金曜)、株主手帳「街の専門家『今月の相場見通し』」、週刊現代、日経マネー、ダイヤモンド・ザイ、ビジネスマンの人生逆転マガジン「Ambitious」、完全ガイドシリーズ「株 完全ガイド」

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