株式を買ったと仮定して、その値動きを検証する企画、「あの銘柄を買ってみた!」。今回は半導体大手の東京エレクトロンを取り上げます。証券コードは8035、東証プライムに上場しており、売買代金上位の常連銘柄です。この銘柄のここから1カ月間の値動きを追跡していきます。
業績は悪くないのに株価は低空飛行
東京エレクトロンの業績は好調です。前22.3期は営業利益が前期比87%増の5993億円と、大幅増益を達成しました。今23.3期も同20%増の7160億円を見込んでいます。そして、株価の方も昨年までは右肩上がりのトレンドが続いていました。しかし、今年に入って風向きが変わり、一転して下げ基調を強めています。
米国の金融引き締めが株価の重荷に
今年に入って株価の動きが悪くなったことに関しては、米国がインフレ退治に向けて政策金利引き上げに向けて動き出したことが背景にあるとみられています。一般的に金利の上昇は、株式市場にとって歓迎される話ではありません。今年に入ってからは、同社以外の半導体株もさえない動きもものが多いですし、半導体株以外でも成長期待から人気を集めていた銘柄が大きく崩れています。
ただ、足元ではそろそろ米国の長期金利上昇にブレーキがかかるのではないかとの見方も強まっています。市場ではそうなった場合に、今年に入って売り込まれていた銘柄が息を吹き返すのではないかという期待があります。
株価反転に向けた2つの関門
この先、東京エレクトロンには2つの関門が待ち受けています。一つ目が米国の長期金利が落ち着くかという点、二つ目が同社の決算です。
米国の長期金利に関しては、7月26日~27日に米国の金融政策を占う上で重要なイベントであるFOMCが開催されます。ここでの内容やマーケットの反応が注目されます。
また、同社は8月8日に第1四半期の決算発表を予定しています。決算発表近辺では株価が大きく動くことが多いです。そして、同社の決算発表時期は同業に比べるとやや遅めとなります。以下は主力の半導体企業の決算発表スケジュール(予定)となります。
7月26日~27日 FOMC
7月27日 信越化学(4063)1Q決算
7月28日 アドバンテスト(6857)1Q決算
8月5日 レーザーテック(6920)本決算
8月8日 東京エレクトロン(8035)1Q決算
東京エレクトロンは半導体関連の大トリと言えるでしょう。そのため、これより前に出てくる企業の決算が、同社の決算への期待を高める、もしくは後退させるといった動きが出やすくなります。先に出てくる企業の決算が良くて、決算反応も強いものとなれば、東京エレクトロンの株価にもポジティブな影響が期待できます。その逆で、決算の中身や株価の反応が悪かった場合には、同社の決算を警戒した先回りの売りが出てきたり、決算に対する反応が厳しめになるといったことが予想されます。
安値圏脱出かそれとも下げトレンド継続か
今回は、近いうちに大きな動きが出てきそうな銘柄ということで、東京エレクトロンに着目しました。向こう1カ月を見渡すと、相場の転換点となるかもしれないイベントと決算発表が控えています。米国の長期金利が抑えられて決算反応も良ければ、短期間で株価が大きく上昇する展開も期待できます。一方、金利が大きく上昇して決算反応も悪ければ、下げトレンドが継続してさらに売り込まれる可能性もあります。
7月26日の終値は4万4520円。最低単位を購入するのに400万円以上必要となるプラチナ銘柄ではあります。初心者の方はいきなりこういった銘柄を売買するのはなかなかハードルが高いかと思いますので、こういった模擬シュミレーションで、実際に買ってみたらどのくらいの動きが出てくるのかというイメージをつかんでいただければと思います。100株単位で最低購入金額は44520円×100株=445万2000円となります。値動きを追うことが目的のため、手数料等は考慮しないこととします。また、銘柄推奨を目的とした企画ではありませんので、その点はご注意ください。「今なら上がるかなぁ」「まだ下がるでしょ」など、自分なりにイメージしてみてください。1カ月後、8月26日(金)の終値との比較で、後日、この期間の値動きについて考察を交えながら振り返っていきます。
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