特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」今回は東光高岳という銘柄を取り上げます。証券コードは6617、東証プライムに上場しています。
東光高岳は変圧器や制御機器、スマートメーターなど、電力エネルギー関連の機器を大きく取り扱っています。会社名の読み方は「とうこうたかおか」です。
2023年の大発会で大幅上昇
この銘柄は、2023年の一発目、大発会1月4日の取引で大きく上昇しました。
1月4日付けの日本経済新聞では、政府が電気自動車(EV)に関する規制を緩和するとの観測を1面で大きく取り上げました。これを材料に、この日の国内株式市場では、同社ほかEVの充電器を手掛けている銘柄に買いが入りました。モリテック スチール(5986)、ENECHANGE(エネチェンジ:4169)といった銘柄も大幅高となっており、モリテックは1日でストップ高まで駆け上がりました。
ただ、同社の株価は翌日5日には一転して急落しました。4日に前日比で200円上昇した後、5日には161円下落しており、上昇分の大半を吐き出しています。しかし、6日に小動きとなった後、週明け10日には大幅高と、値動きが大きくなっています。
EV充電器の業績貢献はまだこれから
同社に関してはEV充電器を手掛けてはいるものの、現時点では業績貢献度はまだ低いです。2023年3月期2Q(4-9月)時点の決算関連資料を見ると、EV急速充電器が含まれるGXソリューション事業セグメントの売上高は全体(422億円)の約6%に過ぎません。その6%の中には充電器以外も含まれています。
ただ、業績貢献度がまだ低いということは、裏を返せばここが伸びれば全体の業績に与えるインパクトも大きいと考えられます。だからこそ、株式の1日の値動きもかなり大きくなったと言えます。
また、同社の時価総額は1月10日時点で約300億円程度とそれほど大きくありません。1月4日には大きな動きが出てくる中で出来高も急増しています。こういったタイプの銘柄は、短期で値幅が出ることを期待した売買が活況になることがあります。
1月の上昇で2022年の高値を突破
テーマ色が強く派手な動きをする銘柄は、短期のマネーゲームで終わることもよくあります。ただ、中期のチャートを見てみると、1月4日に2027円まで上昇しており、2022年通年での高値2016円(8月)を上回る場面がありました。過去の高値を超えてくるタイミングでは、値動きが軽くなることが期待できます。
EVがテーマとして盛り上がるかがカギに
今回、1月10日の終値1947円で株式を購入したと仮定して、1カ月間の値動きを追っていきます。100株単位で最低購入金額は19万4700円となります。手数料や税金等の影響は考慮せず、2月10日(金)の終値と比較します。なお、この銘柄を推奨しているわけではありませんので、その点はご注意ください。
同社は例年1月の後半に3Q決算を発表していますので、この期間内に決算が出てくると予想されます。上期の時点では営業利益が前年同期比86.6%増の23.0億円。今回の決算ではEV向け充電器以外の部分が注目されることにはなるでしょうが、足元の業績が好調という点は評価できます。なお、通期の営業利益計画(44億円)に対する進ちょく率は52.3%となっています。
今回株価が大きく動いたのはあくまでも将来期待ですので、この先も人気が持続するかどうかは、株式市場でEVがテーマとして盛り上がり続けるかどうかがカギとなりそうです。EVに関しては、世界では普及が進んでいる地域もありますが、こと日本に関してはガソリン車で自動車大国となったこともあり、官も民もまだ本気になり切れていないところがあります。
一方、年初からソニーとホンダが共同で手がける新型EV「アフィーラ」が、米国で開催された見本市でお披露目されています。こういった企業からのEVに関するニュースが、充電器普及に対する期待を高めることもあります。
材料株っぽい銘柄ですぐに人気が離散してしまうかもしれませんが、決算が出てくるタイミングですし、年初というのはテーマ株が盛り上がりやすい時期でもあります。1カ月後にどういった動きとなったかを検証しますので、気楽な気持ちで上がりそうか下がりそうかをイメージしてみてください。
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