特定の銘柄の値動きを追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回はトヨタ自動車を取り上げます。証券コードは7203で、プライム市場に上場しています。
25.3期の業績見通しは失望、自社株買いは評価
トヨタは本日5月8日の取引時間中に決算を発表しました。今25.3期の営業利益見通しは前の期と比べて19.7%減の4兆3000億円となりました。前24.3期は同96.4%増の5兆3529億円と大幅増益を達成しただけに、今期の見通しは物足りなく映ります。
実際、今期の見通しが失望となり、決算発表直後の株価は大きく下落しました。しかし、売られっぱなしとはならず、その後に急速に下げ幅を縮めて一時はプラス圏に浮上しました。決算と併せて1兆円を上限とした自己株取得を発表したことが評価されました。
ただ、プラス圏は定着せず、終値は20円安と小幅に下落しました。安くなったところでは買いが入った一方、高くなったところでは売りに押されており、この日のローソク足は上下に長いヒゲをつけています。
水準は大きく変化せず
5月8日の株価は、日中の振れ幅が大きくなりました。ただ、終値で見ると前日比0.56%安と水準は大きく変化しませんでした。また、決算発表前の株価は3400円~3800円レベルでのレンジ推移となっており、8日の値動きもこの範囲内にとどまっています。
自動車株に関しては、足元で為替の動きが不安定となっていることが売り買いの判断を難しくしています。直近ではドル円が160円台に乗せた後に151円台まで円高が進む場面がありました。ドル円は円安に振れやすくなっているものの、円安が進みすぎると為替介入に対する警戒が高まります。
3月から4月にかけては円安進行が大きくクローズアップされましたが、自動車株への好影響は限定的となりました。なお、トヨタは25.3期の為替レートの前提を通期平均で1米ドル=145円、1ユーロ=160円(2024年5月8日時点)としています。
同業の決算にも注目
トヨタの5月8日の終値は3579円でした。100株単位で最低購入代金は35万7900円となります。今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後の株価と見比べます。6月8日は土曜日ですので、6月10日(月)の株価と比較します。手数料・税金等は考慮しません。
トヨタに関しては、以前に同社を含めた自動車大手4社の株価を追跡(2023年10月10日~11月10日)していますが、この時は1カ月で7%近く上昇しました。値動きを見た期間中に上期の決算発表があり、決算を受けた株価の反応は買いとなりました。
今回は決算はすでに消化していますが、同業ではまだ決算を発表していないところもあります。一通り出そろったところでトヨタの株価にも新たな動きが出てくるかもしれません。
1兆円規模の自己株取得は下支え要因としては期待できますし、今期の見通しが保守的との見方が強まるようなら、下値に関しては堅くなってくると思われます。一方、他社の決算などから自動車業界全体の先行きに対する警戒が強まった場合や、為替の値動きが荒くなった場合には、このタイミングで買う理由が乏しいと多くの投資家に判断されてしまうリスクがあります。
今年3月の安値が3398円、4月の安値が3453円で、本日5月8日の安値が3453円ですので、下に関しては3月安値の3398円を割り込まずに推移できるかが焦点となります。上に関しては、3月27日につけた3891円が上場来高値ですので、これを上回るようなら追随買いが入る展開が期待できます。これらの水準を踏まえつつ「上がりそう」「下がりそう」「あまり動かなそう」など、この先の値動きをイメージしてみてください。