過去の「あの銘柄を買ってみた!」で取り上げた銘柄について、その後の値動きがどうなったかを追跡します。今回は、2024年5月に取り上げた九州電力(9508)について見ていきます。
保有し続けていたら大幅なマイナス
2025年2月19日の終値は1276円でした。1880.5円で100株保有し続けていたとしたら、18万8050円が12万7600円となり、6万450円のマイナス(手数料・税金は考慮せず)となっています。この間の下落率はマイナス32.1%となりました。9月をまたいでいますので実際の保有であれば配当(1株あたり25円、100株であれば2500円)がオンされますが、大幅な含み損を抱えていることになります。
株価は下落基調が継続中
電力株は2024年の前半にデータセンター関連として注目を集めましたが、そのような観点で買われたのは一時的でした。値動きを見た2024年6月も人気が剥落して大きく下落しましたが、7月に入っても下げが止まりませんでした。
8月5日に日経平均株価が1日に4000円を超える大暴落となった際に大きく水準を切り下げ、その後はいったん切り返しました。しかし、10月辺りから再び下げ基調が強まりました。
2025年に入って2月5日には1264円まで下落しており、日経平均が大暴落した2024年8月5日の安値1269円を下回っています。
静かに昨年8月安値を下回る
九州電力は2025年1月31日に第3四半期決算を発表していますが、大幅営業減益となったことが嫌気され、翌営業日の2月3日に大幅安となりました。ただ、この日の安値は1284円で、2024年8月の安値1269円は割り込みませんでした。翌2月4日も下落しましたがこの日の安値は1269円で、何とか踏みとどまりました。しかし、2月5日には1264円まで水準を切り下げ、8月安値を下回りました。
決算で下げた際に下に勢いがついて直近の安値を下回った場合などは、そこで当面の売りが出尽くしとなることもあります。ただ、今回のケースでは安値近辺でいったん下げ渋ったにもかかわらず、売りは止まりませんでした。このように静かに直近安値を下回るというのは、この近辺で買いたい投資家が少ないことを示唆しますので、ネガティブな動きです。
もうはまだなり
流れが悪くなった銘柄は、いつまでたっても株価が下げ止まらないことは結構あります。株式市場には「もうはまだなり まだはもうなり」という相場格言があります。「もうこれ以上は下がらないだろう」と思っていたら、まだ下があったことを言い表しているのが「もうはまだなり」です。
答え合わせの回でも崩れた銘柄の損切りタイミングについて触れましたが、購入の際にイメージした動きとならなかった場合には、テクニカル面なども考慮に入れて損切りを行う決断も必要となります。実際のトレードで3割を超える含み損を抱えると株価を見たくもない状況でしょうが、昨年8月の安値を割り込んでしまったので、ここは売りを検討するタイミングとなります。
2024年8月5日に1269円まで下げたものの、この日の終値は1309.5円で、1200円台で長く推移していたわけではありません。一方、2025年は2月に入って終値で1300円を下回る日が何度かあります。3Q決算も売り材料となりました。
PER(株価収益率)は1桁台、PBR(株価純資産倍率)は1倍割れ(2025年2月19日時点)でバリュエーション面では割安感もあります。ただ、電力株は成長期待が高くはないだけに、指標面で割安でも放置されることは珍しくありません。
2024年前半の上昇は1000円辺りからスタートしています。1269円で下げ止まらなかっただけに、スタート地点に戻る1000円辺りがこの先の下値のメドとなります。