特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回はニトリホールディングスを取り上げます。証券コードは9843、東証プライムに上場しており、今年、日経平均の銘柄入れ替えで225構成銘柄に採用されています。
円高進行で一躍注目度が高まる
ニトリは家具からスタートして、今では暮らしに関わる様々なものを取り扱っています。郊外では大規模店舗を展開しており、ショッピングモールなどにも出店していますので、利用経験のある方も多いのではないでしょうか。
このニトリ、今、株式市場で注目度が高まっています。まずはチャートを見てみましょう。
11月14日には1万4655円まで下落して年初来安値を更新しましたが、その後、短期間で大きく水準を切り上げています。この動きを呼び込んだのが為替の円高です。2023年のドル円は長く円安基調が続いていましたが、米国の長期金利に上昇一服感が出てきたことから、足元では巻き戻しでドル安・円高が急速に進む場面がありました。
内需株のニトリにとって、円安はコスト高を招く要因となります。円安にブレーキがかかったことで業績にネガティブな影響が緩和されるとの期待が高まり、買いを集めました。
円高メリット銘柄もあれば円安メリット銘柄もある
株式市場では、為替や原油、長期金利などに大きな動きが出てきた際に買われやすくなる銘柄、売られやすくなる銘柄が存在します。実際にはニトリは為替だけで株価が説明できる企業ではありません。ただし、多くの投資家が『円高メリット』のある銘柄と認識していますので、円高が進む際には買われやすくなる一方、円安が進む際には敬遠される傾向があります。
為替を材料にニトリが強く買われる局面では、「業務スーパー」を展開する神戸物産(3038)や100円ショップを手がけるセリア(2782)なども似たような動きをすることがあります。
これらと対になるのが円安メリット銘柄で、トヨタ(7203)、日産自動車(7201)、マツダ(7261)など自動車株が代表的です。為替の動きが大きくなる際には、株式市場ではどちらかが買われる際にはもう一方は売られるといった動きが出やすくなります。
なお、これらはあくまで、多くの投資家がそういうイメージを持っているという話となります。実際には円高メリット銘柄が円安局面でも為替の影響を克服して業績を拡大するといったことは起こり得ます。為替だけでこれらの企業を「買える」「買えない」と判断すると、その企業の本質を見誤ることにもつながるため注意が必要です。
しかし、数日から数週間のスパンで売買を完結させるスイングトレードでは、こういった為替の動きに対して反応が大きい銘柄を把握しておくことは重要です。FXなどに精通されていて、為替の見立てにも自信がある方であれば、為替の動きが大きくなりそうな際にこういった銘柄に着目することで、株式投資のパフォーマンスを向上させることができるかと思います。逆に為替の読みには自信がないという方は、為替が不安定となった際にはこれらの銘柄を避けることがリスクを小さくすることにつながります。
年末年始に為替は大きく動く可能性も
ニトリHDの12月12日の株価は1万7850円でした。今回はここで買ったと仮定して、1カ月後の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。100株単位で最低購入代金は178万5000円となります。2024年1月12日(金)の終値と見比べます。
2023年は円安基調が長く続きましたが、ここにきて大きな変化が出てきています。年末年始は2024年を見越して為替の動きが大きくなるかもしれません。この時期は企業から出てくるリリースは少なくなりますので、為替がクローズアップされる場面が増えれば、その影響を受けやすい銘柄の振れ幅も大きくなることが予想されます。
足元の円高が一時的であった場合には嫌われる筆頭となるリスクもあります。とは言え、米国は利上げの終了が濃厚となってきており、日本はまだ金融緩和を続けていますので、「日米金利差拡大から円安が進む」との見方は大きく後退しそうではあります。この先の為替が円高に振れるか円安に振れるかは、市場参加者の大きな関心事の一つです。ドル円の動向に注意を払うとともに、為替がニトリの株価にどういった影響を与えるかにも注目してみてください。
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