特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回はメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループを取り上げます。証券コードは8306、東証プライムに上場しています。
金利上昇局面で買われる本命株
銀行株は、金利が上昇すると利ザヤ改善期待が高まり買われやすくなります。日本の長期金利は低い水準に抑えられていますが、2022年以降は米国や欧州で利上げが積極的に実施されており、金利の先高観が強い状態が続いています。
そういった事業環境が大きく変化しそうといった局面では、業界の中で個別を選別するというよりも、まずはトップ企業に注目が集まる傾向があります。
2022年12月に大幅上昇
銀行株は直近で大きく上昇する場面がありました。2022年12月19日~20日の日銀金融政策決定会合では、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%程度まで拡大することが決定されました。これが日銀のスタンス変更と受け止められ、国内長期金利が上昇。銀行株に資金が殺到しました。
一方、この次の日銀会合(2023年1月17日~18日)では日銀が金融緩和の維持を決定しており、この時には多くの銀行株が売りに押されました。
日銀総裁交代で市場参加者の見方が交錯
2月14日に政府は次期日銀総裁に経済学者の植田和男氏を起用する人事案を提示しました。2月24日に衆議院、27日に参議院で所信聴取が行われ、3月には本会議で承認される見込みです。
日銀の総裁が交代するタイミングでもあり、市場では金融政策に変化が出てくるとの見方が根強いです。今の日本では金利を低く抑える金融緩和策を採っているため、政策に変化が出た場合、国内長期金利の上昇要因となる可能性が高いです。このことは銀行株には支援材料となります。
一方、現在の黒田東彦(くろだはるひこ)総裁の任期満了は既定路線でもあり、既に昨年から銀行株はこれを織り込んで動いている。すなわち、銀行株は総裁交代で材料出尽くしとなり、頭打ちになるのではないかといった見方もあります。
株価は高値圏で推移はしていますが、節目の1000円に接近してきたことで、足元ではやや上値追いに慎重姿勢が見られます。1月13日には995.8円、2月20日には999.5円まで上昇しましたが、1000円には届きませんでした。
2023年の主役になれるか年前半で息切れか
今回はこのタイミングで株式を買ったと仮定して、1カ月の値動きを追っていきます。
2月21日の終値は983.2円。100株単位で最低購入金額は9万8320円となります。手数料や税金等の影響は考慮せず、シンプルに1カ月後の株価、今回は3月21日が祝日となるため、3月22日(水)の終値と比較することとします。
次回の日銀会合が3月9日~10日に開催される予定です。黒田総裁のもとでは最後の会合となりますので、この近辺では銀行株や国内の長期金利に大きな動きが出てくるかもしれません。
当面は節目の1000円を超えることができるどうかが焦点となりそうです。注目度の高い銘柄は1000円、5000円、1万円など節目の水準を超えてくると、そのことが追随買いを呼び込むことも多いです。一方、いつまでも節目を超えられないようだと、次第に節目近辺での売り注文が多くなることで、天井感が意識されます。
三菱UFJは2023年の主役銘柄となれるか、それとも日銀総裁交代で上昇一服感が出てくるか、非常に興味深い水準にあります。1カ月経過したところで値動きを振り返りますので、どういう動きになりそうかをイメージしてみてください。
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