特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は損害保険大手の東京海上ホールディングスを取り上げます。証券コードは8766で、プライム市場に上場しています。
上方修正や増配を発表しても株価は大幅安
東京海上は11月19日に上期の決算を発表しており、通期の見通しを上方修正しています。また、中間配当を従来予想の79.5円に対して81.0円にすることを決定し、期末配当見通しに関しても79.5円予想を81.0円予想に引き上げています。加えて、7500万株・1200億円を上限とした自己株取得枠を設定することも発表しました。
上方修正・増配・自社株買いと好材料満載のようにも見えましたが、これらを受けた翌11月20日の株価は7%安と厳しい反応となりました。
同じ日に同業も決算を発表
決算に対する評価が芳しくなかったことに関しては、業績期待が相応に高かった分、上方修正はあって当然とみられており、出てきた内容がその期待には届かなかったことが要因と考えられます。
なお、この日は同業のMS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)とSOMPOホールディングス(8630)も決算を発表しており、MS&ADは大幅安、SOMPOは大幅高となりました。
いずれも上方修正を発表していますが、その中ではSOMPOの見通しの引き上げ度合いが最も大きなものとなりました。また、3社とも自己株取得枠の設定を発表していますが、その規模もSOMPOが一番大きなものとなっています。
同じ日に同業が決算を発表したからといって、上か下かの方向が変わることは一般的にはありません。それぞれが別の日に今回の内容を発表したとしても、SOMPOは買い、MS&ADと東京海上は売りの反応となった可能性が高いです。
ただ、値幅に関しては、同じ日に決算を消化することで優劣が色濃く出て、内容の良い銘柄に買いが集中し、イマイチな銘柄に売りが殺到するといったことは起こり得ます。
なお、損保株は決算発表日が他の多くの企業に比べて遅めとなることが多いです。その前で決算を材料に個別物色が活発となり、材料難になったところで損保の決算が出てくることから、市場からの注目度が高くなる傾向があります。その分、良い方でも悪い方でも値幅が大きく出ることがあります。
過剰反応かそれとも妥当な下げか
東京海上の11月20日の終値は5631円でした。100株単位で最低購入代金は56万3100円となります。今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後、12月20日(金)の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。
上方修正は市場の期待ほどではなかったとしても、増配や自社株買いは評価できる材料となります。今回は、悪くないリリースを出したのに株価の反応が良くなかった銘柄が、その後にどういった動きを見せるのかというのがテーマとなります。決算発表翌日の株価は下に値幅が出すぎたのか、それとも妥当な評価なのか。同じ日に派手に動いたSOMPOやMS&ADがこの先、どう動くかも要注目です。