特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回はファーストリテイリングを取り上げます。カジュアルウェア「ユニクロ」や「ジーユー」のほか、「セオリー」「プラステ」などの衣料ブランドを展開しています。証券コードは9983で、東証プライムに上場しています。
中長期では右肩上がりも2025年は軟調推移
株価は中長期では右肩上がりの基調が続いています。しかし、2025年に入ってからはやや陰りが出てきています。
上の週足チャートの赤枠で囲った部分を日足で見たチャートがこちらとなります。
同じ銘柄でも、どこの期間を切り取るかによって、印象が大きく変わることがお分かりいただけるかと思います。
「中長期での上昇基調は続く」との見方に立てば、今は買い場のように見えます。一方、「株価は天井をつけた」との見方に立てば、過去の値動きからはまだまだ下がありそうにも見えます。
4月に通期見通しの上方修正を発表
ファーストリテイリングは8月決算銘柄です。4月10日に上期決算を発表しており、連結の営業利益は前年同期比18%増の3042億円となりました。
また、通期の営業利益を5300億円から5450億円に上方修正したほか、上期の1株当たり配当金を従来予想の225円に対して240円に決定し、期末配当予想も225円から240円に引き上げています。
しかし、この発表を受けた4月11日の株価は売り反応となりました。
第1四半期の営業利益は1576億円で、直近3カ月では同程度の利益を計上しています。折り返しの時点で3000億円を超えているだけに、5450億円という計画は上方修正したとはいえ、やや物足りないと受け止められたと考えられます。
とはいえ、1日前の10日には先回りの買いが入っていましたし、11日は日経平均株価が1023円安と大きく下げていますので、それほどネガティブに捉える必要はないかもしれません。
小売の中ではかなりの値がさ株
ファーストリテイリングの4月16日の株価は4万5860円でした。100株単位で最低購入代金は458万6000円となります。今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後、5月16日(金)の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。
小売はメーカーなどと比べて消費者との距離が近い分、株価水準が高くなれば株式分割を積極的に実施して最低売買単位を引き下げる企業が多いです。同社も過去に株式分割を実施してはいますが、小売株で最低400万円が必要というのはかなり異彩を放っています。1%の値動きでも4万円以上損益が変動します。
日経平均株価に対する影響度の大きい銘柄で、値幅が大きく出る日には同社の値動きが日経平均の上げ下げを左右するといったことも起こり得ます。会社そのもののポテンシャルとは別の要因で株価が動くこともあります。
提供する商品は老若男女幅広い層に支持されており、海外でもトライ&エラーを繰り返しながら業績を拡大しています。
上昇基調に回帰するのかまだ下げが続くのか非常に興味深い局面ですし、「分割はあるのか?」「日経平均はこの先どう動くのか?」といった様々な方面からアプローチできる銘柄でもあります。今が買い場なのか売り場なのか、ご自身なりの仮説を立ててこの先の値動きを予想してみてください。