特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は自動車株を取り上げます。対象はトヨタ(7203)、ホンダ(7267)、日産自動車(7201)、マツダ(7261)の4銘柄となります。
自動車株は足元で同じような値動き
4社のチャート(日足)を見てみると、足元ではどれも同じような値動きとなっています。
9月前半にかけては、円安進行を追い風に買いを集めました。一方、ドル円が150円に近付いてくると介入などへの警戒から上値が重くなり、9月中旬以降は失速。日本株全体が崩れたこともあって10月初旬には下げ基調を強めました。
マツダが9月19日、トヨタ、ホンダ、日産自動車が9月20日に年初来高値をつけています。ちなみにトヨタとホンダは「年初来高値=上場来高値」となっています。その後、そろって鋭角的に水準を切り下げると、10月4日に当面の売りが出尽くしたような格好となっています。
この先は個社要因を吟味する材料も多い
このように、同じ業種の銘柄が似たような動きをすることは時々あります。業界構造を揺るがすような大きなニュースが出てきた時や、自動車株であれば今回のように為替への注目度が高まった時などによく見られます。
ただし、ずっと同じような動きをするかというと、必ずしもそうではありません。この先は上期の決算が出てきます。公表している中では、トヨタが11月1日(水)に上期の決算発表を予定しています。業績面で円安による恩恵があったとしても、その影響は各社によって異なります。
また、自動車に関しては、10月26日(木)~11月5日(日)の日程で、「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー) 2023」が開催されます。かつては「東京モーターショー」という名称で開催されていました。ここで取り上げられるニュースが多いか少ないかは、株価にも影響を及ぼす可能性があります。為替動向には引き続き注意を払う必要があるものの、ここからはそれぞれの企業を個別に見定める材料も増えてきます。
似たような動きをしている時は、各社のポテンシャルやバリュエーションはいったん脇に置かれます。そのため、過大・過小評価がされやすくなります。こういった時に、「過小評価されている銘柄を買う」「過大評価されている銘柄を売る」というのは、投資アイデアの一つとなります。
トヨタやホンダは下げ局面で値を保つ
それぞれの銘柄の株価(2023年10月10日終値)、この時点での予想PER、それから直近の高値および安値と、現状株価から直近高値まで上昇した場合にどのくらいの上げ余地があるかを見ていきます。
10月10日終値は、トヨタが2624.5円、ホンダが1659.0円、日産が624.1円、マツダが1565.5円でした。この時点での予想PERは、トヨタが13.8倍、ホンダが10.2倍、日産が7.2倍、マツダが7.6倍となっています。
現状株価から9月の高値まで戻した場合に何%上昇するかを見てみると、トヨタが10.9%、ホンダが9.8%、日産が14.2%、マツダが18.4%となっています。
4社の比較ではトヨタとホンダが急落局面では値を保ち、日産とマツダは直近高値からの下げが大きくなりました。その分、日産やマツダはPER面では割安感が出てきているという構図となります。
パフォーマンス格差は出てくるか?
今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後、11月10日(金)の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。
それぞれの購入金額は
① トヨタ:2624.5円×100株=26万2450円
② ホンダ:1659.0円×100株=16万5900円
③ 日産自動車:624.1円×100株=6万2410円
④ マツダ:1565.5円×100株=15万6550円
となります。
ちなみに、4銘柄を100株ずつ購入したと仮定すると、(2624.5+1659+624.1+1565.5)×100株=64万7310円の資金が必要となります。
この先も為替をにらみながら似たような動きが続くのか、決算などを手掛かりに違った動きが出てくるのか、非常に興味深い局面です。上がるか下がるかという予想に加えて、4銘柄のうちどの銘柄のパフォーマンスが最も良くなりそうかについてもイメージしてみてください。
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