今回は、過去の「あの銘柄を買ってみた!」で取り上げた銘柄について、その後の値動きがどうなったかを追跡します。2023年4月に取り上げた二デック(6594)について見ていきます。
ニデックは2023年4月3日の終値が6870円で、5月8日の終値が6768円。値動きを見た1カ月間では1.5%(102円)の下落となりました。
1Q決算が好感されて株価は急伸
ニデックは直近で決算を材料に株価が大きく上昇したことが注目を集めました。7月20日に発表された第1四半期(1Q)決算では、営業利益が前年同期比35%増の602億円となりました。
同社は4月に今期の営業利益計画を上期1000億円、通期2200億円と提示しましたが、前23.3期の着地が約1000億円でしたので、当時はこの計画が本当に実現できるか、マーケットは期待半分、不安半分で見ていました。しかし、1Qでは上期計画に対する進捗率が6割を超えてきました。
この結果を受けて、計画の実現可能性が高まったとみた買いが殺到。21日の株価は10.4%高と急伸しました。翌24日も上昇しており、この日の高値は8706円までありました。
5月中旬に基調が変化
ニデックの株価は値動きを見た直後、5月中旬に基調に変化が出てきました。日本株全体の動きが良くなってきた際に、それに連動する形で上を試しに行きました。答え合わせの回で、「7000円台を回復してくれば底打ち期待が高まる」と触れましたが、5月の中旬には7000円台に乗せてきました。
その後、5月23日に7557円まで上昇したところでいったん上昇一服。1月の高値が7585円でしたので、この近辺では戻り売りも出てきました。しかし、6月に入ると上昇再開。6月中旬に年初来高値を更新すると、6月19日には8000円台を回復しました。
中期で底固めが進んだことが上昇を呼び込む
週足チャートでもう少し長い期間の値動きを見てみましょう。3月までの株価は右肩下がりでした。しかし、4月辺りから下げづらくなって値固めが進み、5月以降は上昇トレンドに転換しました。
長く下げトレンドが続いた銘柄は投資家の期待値が低下しているため、一時的に強い動きが出てきても戻り売りに押されやすくなります。そういった銘柄に関しては、大きく上昇することを期待するのではなく、まずは下がらなくなってくるかを見極めていくことが重要となります。
ニデックに関しては、本決算発表のタイミングで下げ止まり感が出てきて、そこから動きが良くなったところで1Q決算を確認して一段高となりました。決算は情報量が多いだけに、この動きは底打ちの信頼性を高めるものと考えられます。
トレンドが変わると株価の反応も変わってくる
材料に対する株価の反応というのは、その銘柄が上昇トレンドにあるか下落トレンドにあるかで大きく変わってきます。同じ上方修正でも、下落トレンドにある中では高くなったところで戻り売りが出やすくなりますが、上昇トレンドにある中では追随買いが入りやすくなります。また、下落トレンドでは好材料に対する反応が一時的にとどまりやすい一方、上昇トレンドでは賞味期限が長く、継続して買いが入る傾向があります。
ニデックに関しても、4月から5月にかけて底固めが進んでいなかったら、1Q決算に対する反応はまた違ったものとなっていたかもしれません。しかし、流れを呼び込んで今は上昇トレンドに転換しているため、ここからは材料に対する反応がポジティブになると期待できます。1Qの実績からは当然、2Q決算に対する期待も高まります。
この先は2022年8月につけた高値10110円を超えられるかどうかが焦点となります。節目の1万円にも近く、いったんは戻り売りや利益確定売りが出やすい水準となります。ただそれだけに、難なく超えてくるようなら、2021年2月につけた上場来高値の15175円を試しに行く展開も期待できます。