特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2023年2月に取り上げた三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の値動きを振り返ります。
1カ月後の株価は大幅安
3月22日の終値は850.8円でした。
2月21日の終値は983.2円でしたので、この1カ月では132.4円(-13.5%)の下落。100株だと9万8320円が8万5080円となり1万3240円のマイナス(手数料・税金は考慮せず)、月間で2桁の下落率と大きな下げとなりました。
欧米で金融不安が高まる
大幅安となった最も大きな要因は、海外の金融機関の変調です。米国ではシリコンバレー銀行やシグネチャー銀行が経営破綻を発表。スイスでは大手金融グループのクレディ・スイスがUBSに救済合併されました。
現時点においても金融株を巡る混乱は続いており、ファースト・リパブリック・バンク(アメリカ)やドイツ銀行(ドイツ)などが連日派手な値動きとなっています。
三菱UFJや国内金融期間に何かネガティブな話が出てきたわけではありませんでしたが、米国で破綻が相次ぎ、影響が欧州にも飛び火したことから、連想売りが広がりました。
また、金融不安が高まったことで、景気の悪化も同時に意識されました。米国の長期金利は大きく低下し、この先も上がりづらくなるとの見方が強まりました。これらの要因により、金融株の多くが急転直下の下げとなりました。三菱UFJ株も3月9日には996.7円まで上昇する場面がありましたが、1週間後の3月16日には805円まで下落しています。
黒田総裁下で最後の日銀会合は無風通過
3月9日~10日に開催された日銀金融政策決定会合では、大規模緩和の維持が決定されました。黒田総裁下では最後の日銀会合でしたが、特段のサプライズはありませんでした。
この結果を消化する3月10日は、破綻した米シリコンバレー銀行株の暴落が株式市場を動揺させていたことから、この日の国内金融株はダブルパンチをくらった格好で軒並み大幅安となりました。
上昇期待は大きく後退
もし、2月21日に三菱UFJ株を買っていた場合、損切りを検討しなければならない状況と言えます。値動きを追いかけていた1カ月の間に、市場の金融株に対する見方は大きく変わりました。特に、金融機関の破綻リスクが意識されたことはかなりの逆風です。各国の中央銀行は不安がこれ以上高まらないよう機動的に対応していますので、金融システムの不安に関してはそろそろ落ち着いてくるかもしれません。ただ、金融株を安心して買える環境が整うのは相当先になると思われます。
この銘柄を取り上げた際に、1000円を超えることができるかどうかが焦点とお伝えしましたが、1000円に迫りながらこれを超えられず、それだけでなく大きく値を崩してしまいました。実際のトレードでは、大幅安となった3月10日や、2月6日につけた直近安値の896.2円を下回った3月13日は、売りを検討するタイミングとなります。
市場の評価が大きく変わってしまった銘柄に関しては、戻したところでは売りそびれた投資家からのやれやれ売りが出てきます。それを跳ね返すくらいの強い材料が出てくるかどうかが、この先の注目点となります。
株価が反転する要素としては
・グローバルで金融株が急落しないという状況がしばらく続く
・危機を経たことで平時であれば考えられないような金融機関の合併・再編が成立する
・新体制となった日銀が早期に金融政策の修正・変更に動く
・米国のインフレが全く沈静化せず、米国の利上げが長期化するとの見方が強まる
などが挙げられます。こういった話が出てきて、株価にも好反応が見られるようであれば、戻りを待つという戦略も有効と考えられます。
一方
・新たな金融機関の不安材料が露呈する
・日本でも金融機関に対する不安が高まる
・米国が利上げを打ち止めする、または利下げに踏み切るとの見方が強まる
・日銀が金融緩和継続の方針を強く打ち出す
といった話が出てきた場合には、売りを誘う材料となります。既に大きく売られており、値ごろ感は出てきていますので、下げが一巡したように見える今の状況から一段安となった場合には、戻りには時間がかかるとみた方が良いかもしれません。
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