特定の銘柄の値動きを追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は海運大手の川崎汽船を取り上げます。証券コードは9107で、プライム市場に上場しています。
紅海渡航リスクが意識されて株価は急上昇
海運株は直近で強く買われる場面がありました。まずはチャートを見てみましょう。
2023年12月の中盤にかけて、株価が大きく上昇しています。紅海渡航リスクが高まったことが、株価上昇の要因として挙げられます。イエメンの反政府勢力であるフーシがイエメン沖で船舶を狙った攻撃を行ったことで、海外の大手海運会社が紅海の渡航を見合わせるといった事象が発生しました。
紅海は海上輸送において重要なルートで、ここを通らずに物資を輸送するとなると、海上運賃の上昇が予想されます。海運各社にとってはポジティブとの見方から、株式市場では海運株が買われる流れとなりました。
やや逆張り的な性質も
川崎汽船、日本郵船(9101)、商船三井(9104)が国内の海運大手3社となりますが、これらの日々の値動きを見ていると、他の銘柄が買われていない時に買われたり、その逆で、他の銘柄が買われている時に売られたりすることがよくあります。先ほどの紅海の件は、海外から物資を輸入する多くの企業にとっては、輸送コストの上昇につながる点でネガティブな材料となります。
また、海運株の中でも特に川崎汽船は、日々の値幅が出やすい銘柄となっています。デイトレードには向いており、全体相場が弱い時や、材料難で動きづらい時に同社株が好んで売買されることが結構あります。一方、他の銘柄を買いづらい時でも注目を集めやすい分、全体の地合いが良くなって物色の広がりが出てきた際には、突如手じまい売りに押されるといった動きも見られます。
足元の株価は上場来の高値圏
逆張り的な性質があるのなら、日経平均が大きく上昇している今は弱いのかというと、必ずしもそうではありません。2024年に入って1月17日には7735円まで上昇していますが、この7735円は上場来の高値となっています。週足チャートで少し長めの値動きを見てみましょう。
中期スパンでは大きく水準を切り上げています。景気が良くなって海上輸送が活発になることは海運会社にもプラスです。また、直近のように海上運賃に上昇要因が出てきた時には強く買われる要素もあります。
ただ、日々の値動きが大きくつかみどころがないという側面もありますので、どちらかというと玄人(くろうと)向きの銘柄と言えるかもしれません。海運株への投資に関しては(株式初心者のためのPER入門~海運株を高値つかみしないように~)でも取り上げていますので、こちらも参考にしてみてください。
決算に対する反応にも注目
川崎汽船の1月23日の株価は7166円でした。今回はここで買ったと仮定して、1カ月後の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。100株単位で最低購入代金は71万6600円となります。2月23日(金)は天皇誕生日により休場ですので、2月26日(月)の終値と見比べます。
この間には第3四半期の決算発表があり、発表予定日は2月2日(金)となります。決算が出てくれば、株価の動きも大きくなる可能性があります。売買代金上位ランキングの常連銘柄ですので、日々の値動きをウォッチしつつ、1カ月ではどのくらい値幅が出るのかについてイメージしてみてください。
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