特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2024年6月に取り上げたNEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信(NF・日経半導体ETF:200A)の値動きを振り返ります。
1カ月で4%弱の下落
7月19日の終値は1939円でした。6月19日の終値は2015円でしたので、値動きを見た1カ月では76円(-3.8%)の下落(手数料・税金は考慮せず)となりました。
この間の値動きは以下のようになりました。
しばらく横ばい推移となった後、7月初旬にかけては上昇基調を強めました。日経平均株価は7月2日に久々に4万円を上回ると、11日には一時4万2426円まで上昇。この間は、半導体株や電子部品株など大型グロース株に買いが入りました。
しかし、7月半ばになると日本株が急失速。特に半導体株は、米国が中国に対する規制を一段と強化するとの観測報道が伝わったことで、売られる筆頭となってしまいました。これに伴い、NF日経半導体ETFも短期間で大きく水準を切り上げ、値動きをみた1カ月間では下落しました。
個別の半導体株には2桁の下落率となる銘柄も
NF日経半導体ETFは日本の半導体株と連動性の高い商品ですので、個別の半導体株の値動きも見ていきましょう。ここでは、東京エレクトロン(8035)、ディスコ(6146)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)を挙げています。
同じ期間において、アドバンテストは9.2%高と大きく上昇しており、これを選ぶことができれば「当たり」でした。しかし、東京エレクトロンは10.3%安、ディスコは13.8%となり、レーザーテックに至っては16.6%安と、かなり大きな下げとなりました。この間の半導体株がかなりの逆風を受けたことが見て取れます。
半導体株は最低売買単位が高額な銘柄が多いです。個別株は100株単位ですので、ディスコは1カ月でざっくり611万円が527万円になり、84万円の損失を抱えたことになります。これはなかなかのネガティブインパクトです。その点、NF日経半導体ETFは1口単位で2000円近辺で購入できます。購入、売却に対する心理的な負担が相対的に小さいという点で、リスクを抑える要素があると言えるでしょう。
上げ局面での果実はしっかり享受
次に、この間の各銘柄の振れ幅を見てみましょう。
NF日経半導体ETFはこの期間、プラス10.5%からマイナス6.2%の範囲で推移しました。一番良い時に売っていれば10.5%のプラス、一番悪い時に売ってしまった場合には6.2%のマイナスであったということになります。
これを見ると、突出して動きが良かったアドバンテストは別格ですが、それ以外の銘柄との比較においてNF日経半導体ETFは、半導体株の動きが良かった時の果実はそれなりに得ることができており、その一方で暴落は回避できています。
じっくり半導体株の成長に期待するのに適した商品
値動きを見た期間では、やや大きめの下落となりました。ただ、個別株と比べると相対的に下値は限定的となりました。別の期間で検証した際には、また違った結果となる可能性はあります。ただ、日経半導体株指数に連動することを目的とし、その指数が複数の半導体株で構成されていることを踏まえると、良くも悪くも個別の半導体株に比べて値動きが落ち着くことは期待できます。
買ってみたの回でも、「デイトレにはあまり向いておらず、中長期の視点で半導体の成長を応援したいという方に適した商品」と言うことをお伝えしましたが、実際の検証でもそのような動きが確認できました。半導体の将来性には魅力を感じているものの、個別株は値動きが荒すぎて安心して持っていられない、日中の株価の値動きにはあまり一喜一憂したくない、という方にはNF日経半導体ETFは選択肢となり得ます。
足元では半導体株が調整色を強めており、不安定な動きが続いています。個別銘柄が底を打ったかどうかを見極めるのは、投資の熟練者でも簡単ではありません。また、半導体株が持ち直したとしても、すべての銘柄が大きく上昇するとは限りません。NF日経半導体ETFはこういう時が狙い目かもしれません。リスクとしては、半導体株に対する期待が大きく後退するという点が挙げられます。日本の半導体株が人気になった背景には、米国のエヌビディア(NVDA)が生成AI期待で大きく上昇したことがありますので、米国の半導体株の動向には注意を払っておく必要があります。