特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は東京地下鉄(東京メトロ)を取り上げます。本日2024年10月23日にプライム市場に新規上場した銘柄で、証券コードは9023となります。
初値は公開価格比36%高
東京メトロの公開価格は1200円でした。上場初日の10月23日は買い気配スタートとなり、しばらく値が付きませんでした。取引がスタートして1時間近く経った10時06分につけた初値は1630円で、公開価格比ではプラス35.8%となりました。そして、その後も上げ幅を拡大。この日の日経平均株価が弱く後場は伸び悩みましたが、大きな失速もなく、1739円で取引を終えています。
終日強い動きとなる中で売買も盛り上がっており、売買代金は全市場でトップとなりました。
時価総額は1兆円超え
10月23日の終値で計算した時価総額は1兆0104億円で、早くも1兆円銘柄の仲間入りを果たしました。以下は主な鉄道株の10月23日時点の時価総額となります。
鉄道株では、JR東日本とJR東海が3兆円を超えて抜けた存在となっています。阪急阪神HDや西武HDが東京メトロと近く、1兆円近辺となっています。
優待の権利を得るには200株以上が必要
東京メトロの株主優待は、全線きっぷ(片道1回)が保有株数に応じて贈呈されます。なお、1万株以上の保有では全線定期乗車証が贈呈されます。また、利用に条件はつきますが、「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券や、ゴルフ練習場「メトログリーン東陽町」の入場無料券など、メトロの関連施設に関する優待もあります。
そして、この優待の権利を得るには2単元(200株)以上が必要となります。長期志向で東京メトロに着目する投資家は複数株を購入する可能性が高いと考えられます。
株価上昇で配当妙味は薄れる
今25.3期に会社は年40円配当を計画しています。東京メトロに関しては、配当利回りが同業に比べて高めであったことが、事前人気を高めた要因の一つとなっています。ただし、株価が上昇すると配当面での妙味は薄れてきます。
1株配当が年40円の場合、株価が公開価格の1200円であれば配当利回りは3.3%となりますが、10月23日の終値1739円で計算すると2.3%となります。
業績面では、安定成長は期待できる一方、急拡大に対する期待は高まりづらい業態です。この点をどう捉えるかが、今後の株価を見る上での一つのポイントになるでしょう。
好発進で良い流れを作れるか
東京メトロの10月23日の終値は1739円でした。100株単位で最低購入代金は17万3900円となります。今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後、11月23日は土曜日ですので、11月25日(月)の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。
初日から良い動きを見せたことで、注目度が高い状態が続くと考えられます。公開価格で取得できた方は十分な含み益を得ており、初値(1630円)で買った方も初日はそこから一段高となっていますので、買いが買いを呼ぶ好循環が発生する展開も期待できます。足元で日本株が不安定となっていますので、ディフェンシブ性があるという点から選好される要素もあります。
一方、配当利回りの観点からは一段と買い上がる理由は乏しくなっています。新規上場株はいったん上昇が止まると、利食いや手じまいの売りが一気に出てくることも少なくありません。
JR東日本やJR東海など時価総額で東京メトロを遥かに凌駕する同業も存在する中、鉄道株の中でこの先、どのような立ち位置になっていくかも非常に興味深いです。「●●だからまだ上がある」「××という理由でこれ以上は期待できない」など、ご自身なりのシナリオを持って1カ月後の株価を予想してみてください。