特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回はテンシャルを取り上げます。証券コードは325Aで、2025年2月28日にグロース市場に新規上場したばかりの銘柄です。
「BAKUNE(バクネ)」を展開
テンシャルはリカバリーウエア「BAKUNE(バクネ)」を展開しています。
価格は上下セットで2万円を超えるものが多く、かなりお高めですが、そのことも含めてメディアで取り上げられることが多い商品です。テレビ番組で睡眠や疲労に関する特集が組まれる際には、「快眠グッズ」の一つとしてよく紹介されています。
初値は公開価格を3割上回るも・・・
公開価格2000円に対して、初値は2600円。公開価格比で30%増となりました。
IPOでは昨年後半辺りから初値が公開価格を割り込むケースが少なくなり、2025年もテンシャルより前に上場した銘柄で公開価格割れはありませんでした。IPOの環境が良くなった中、知名度の高さもあって初値買いは盛り上がりました。上場した2月28日の終値は2751円で、初値を上回っています。
ただ、その後の株価は失速しています。3月3日には寄り付きから3000円を上回り、3085円まで高値をつけましたが、買いが続かずマイナス転換。終値は143円安(5.2%安)の2608円となりました。3月4日は208円安(8.0%安)の2400円で終え、この時点で初値を下回りました。3月5日も128円安(5.3%安)の2272円と大幅下落で終えています。
上場直後に株式市場が乱高下
上々2日目以降の株価はさえないですが、これに関しては日本株全体の値動きが不安定になっていることも少なからず影響しているかもしれません。上場日2月28日の日経平均株価は1100円安と4桁の下落となり、その後も荒い動きが続いています。
IPO銘柄と日経平均株価の連動性が高いわけではありませんが、全体市場が崩れた際には、値動きが大きくなりやすいIPO銘柄は平時よりも急落に対するリスクが強く意識されます。公開価格で取得した投資家が手じまいを急ぐ、短期の値幅取りを狙った投資家が投げ売るといった理由で、需給が急速に悪化してしまうことがあります。
公開価格割れを回避できるかが目先の焦点
テンシャルの2025年3月5日の終値は2272円でした。100株単位で最低売買代金は22万7200円となります。今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後の株価と見比べます。4月5日は土曜日ですので、4月7日(月)の終値と比較することにします。手数料・税金等は考慮しません。
2日目以降は買いが続かず、その後の下げで初値を下回っています。この先、公開価格の2000円をあっさり下回るようだと、見切り売りに押されやすくなるリスクがあります。一方、IPO銘柄はきっかけ一つで動きが良くなることもあります。同社に関しては「BAKUNE」を扱っている会社としての知名度がありますし、上場企業となったことが「BAKUNE」の販売にプラスの影響を及ぼすといったことも期待できます。
上場して間がないだけに、1カ月後の株価水準は大きく変化している可能性もあります。埋もれ銘柄になってしまうのか、それとも切り返して株式市場での人気を高めていくのか。ここからの値動きをイメージしてみてください。