過去の「あの銘柄を買ってみた!」で取り上げた銘柄について、その後の値動きがどうなったかを追跡します。
今回は、2023年12月に取り上げたJT(日本たばこ産業)(2914)について見ていきます。
2023年11月~12月との比較で株価は上昇
2025年5月14日の終値は4370円でした。
2023年11月21日の終値3718円との比較では652円(+17.5%)の上昇、同年12月21日の終値3723円との比較では647円(+17.4%)の上昇(手数料・税金等は考慮せず)となっています。
実際に保有していた場合、2023年12月末以降は配当の権利も獲得していますので、その分もオンされることになります。23.12期の期末配当は100円(年間では194円)で、24.12期は中間・期末とも97円、年間194円の配当を出しています。
中長期で水準を切り上げる動きが継続
値動きを見た期間ではあまり動きはありませんでしたが、2024年の前半に上昇基調を強めており、この年の6月には4622円まで上昇しました。
8月に日経平均が大きく崩れた際にはそのあおりを受け、一気に3453円まで水準を切り下げました。そこからいったん戻したものの、秋口以降は改めての売りに押されており、2025年の2月辺りまでは軟調に推移しました。
一方、2025年3月以降は動きに変化が出てきており、4月に入ると騰勢を強めました。直近の動きを日足チャートで見ると、以下のようになります。
高配当という安心感
JTは配当利回りが高い銘柄として知られていますが、このタイプの銘柄は配当面での安心感が下支えとなる分、相場が不安定になった時や急落直後に人気を集めることがあります。
2025年の3月後半から4月にかけては、米国のトランプ大統領が各国に関税を強化する姿勢を示したことで「不確実性」に対するリスクが高まりました。この時は高配当に加えて、内需、ディフェンシブという側面からも評価が高まりました。
高配当銘柄はメディアの企画などで特集が組まれることも多いです。荒れ相場だけでなく、年初や株式市場が強い時、NISAの制度変更があった時など、投資家の裾野拡大が期待できそうな局面で、注目度が高まることもあります。
平時の動きは地味になることも
一方、高配当利回り銘柄は、平時の動きはマイルドになることも多いです。高配当を実現するには、安定した利益を出し続けることが求められます。業態としては比較的堅めの企業が多く、業績が急拡大する期待はそれほど高くない銘柄が多いです。株式市場でリスクオンムードが強まった際には成長期待の高い銘柄が人気になることで、高配当銘柄は敬遠されることも少なくありません。
高配当銘柄に投資する際には、短期での成果を求めるのではなく、じっくり腰を据えたスタンスで臨む方が良いでしょう。
配当利回りは4%を超える
25.12期の配当は24.12期同様に中間・期末とも97円、年間194円の配当を会社では計画(2025年5月7日時点)しており、5月14日の終値4370円で計算した配当利回りは4.4%となります。
株価は2024年後半の下げで上昇トレンドが崩れたようにも見えましたが、しっかり持ち直しています。2025年に入って5月8日には4595円まで上昇しており、2024年6月の高値4622円に接近しました。
上場来高値は2016年につけた4850円で、5月14日の終値4370円からは11%程度高い水準にあります。年間194円で配当利回りが4%になるのがちょうど4850円(194÷0.04)ですので、高値をうかがう動きが見られるかが注目されます。