特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2025年2月に取り上げた本田技研工業(ホンダ)と日産自動車の値動きを振り返ります。
日産は大幅高、ホンダは大幅安
3月5日の株価は、ホンダが1410.5円、日産が427.2円でした。
値動きを見た期間では、ホンダが89.5円(-6.0%)の下落、日産が40.3円(+10.4%)の上昇と、対象的な動きとなりました。
統合破談が決まった後のホンダは手掛かり難
まずはホンダから見ていきましょう。ホンダは15万円が14万1050円となり、89.5円×100株で8950円の下落(手数料・税金は考慮せず)、下落率は6.0%と大きな下げとなりました。
統合破談観測を受けて2月5日は大きく上昇しましたが、財務リスクが低下しても今後の成長に対する期待は低下したことから、翌2月6日は大幅安となりました。また、その後は2月5日の終値1500円を一度も上回ることができませんでした。
2月5日の時点では統合破談は観測にすぎませんでしたが、2月13日に両社は経営統合に関する協議・検討を終了することを正式に発表しています。
3Q決算発表時に通期の見通しを上方修正しており、翌営業日の2月14日は上昇しましたが、この日の高値は1498円までで、その後の買いは続きませんでした。期間中の安値は2月20日の1342円でした。
ホンダとしては、日産や三菱自動車工業と連携して自動車業界の中で存在感を高めていく狙いがあったと思われますが、統合は実現には至りませんでした。その後、会社から新たな再編に関する具体的なリリースはまだ出てきていません。買い材料に乏しい中、2月5日に期待で上げた分を早々に消失した後は、さえない動きが続きました。
日産は新たな再編に関する思惑も
日産自動車は3万8690円が4万2720円となり、40.3円×100株で4030円の上昇(手数料・税金は考慮せず)、上昇率は10.4%と大きな上げとなりました。
ホンダは2月5日に大幅高、2月6日に大幅安となりましたが、日産は逆に2月5日に大幅安、2月6日に大幅高となりました。2月5日の終値386.9円が期間中の安値となっています。
日産に関しては、台湾の鴻海精密工業が関心を寄せていたことが伝わっており、ホンダとの統合が破談になった後は鴻海主導の再建に対する期待が高まりました。
しかし、鴻海が絡むものも含めて様々な観測や憶測が浮上。さらにホンダとの交渉再開の可能性を報じるニュースなども出てきており、株価は関連ニュースに一喜一憂しました。2月21日につけた473円が期間中の高値となっており、この日もメディアの観測報道を材料に強く買われています。
なお、3月11日に日産は内田誠社長の退任を発表しました。経営体制が変わることで新たな動きが出てくるかもしれません。
業界再編はここからが本番
値動きを見た期間ではホンダが大幅安、日産が大幅高となりました。ただ、どちらも2月5日の派手な動きが修正されたにすぎないようにも見えます。
ちなみに、同じ期間の自動車株は、トヨタ(7203)が3.8%安、マツダ(7261)が3.7%安、SUBARU(7270)が4.7%高、三菱自動車(7211)が16.1%高となっています。SUBARUはこの期間に発表した決算が高く評価されたことが大きく影響しています。三菱自動車は下方修正を発表して2月4日に急落していた分、好パフォーマンスとなりました。
米国ではトランプ大統領が自動車関税に関して発言することが多く、日本も例外にはならないとの見方が強まっています。また、為替市場ではドル円が円高に振れており、足元の日本の自動車株を取り巻く環境は良いとは言えません。
ただ、それだけに各社の収益力向上は急務となっています。日産は先ほど述べたように社長退任が発表されたことで、次の一手に注目が集まります。自動車業界の再編はこれから本格化すると見ておくべきでしょう。ホンダ、日産はもちろんのこと、それ以外の銘柄にもこの先、大きな動きが出てくる可能性があります。