特定の銘柄の値動きを追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回はセブン&アイ・ホールディングスを取り上げます。証券コードは3382で、プライム市場に上場しています。
買収観測で一躍時の銘柄に
セブン&アイはコンビニの「セブン-イレブン」やスーパーの「イトーヨーカドー」を抱える大手小売企業です。最近では買収観測が報じられて株価が大きく上昇しました。
カナダのコンビニ大手であるアリマンタシォン・クシュタール社からセブン&アイが買収提案を受けたとの観測が伝わり、8月19日に株価はストップ高(2161円、400円高)となりました。
セブン&アイは時価総額で5兆円レベルの銘柄ですので、ストップ高というのはなかなかのインパクトです。急伸した後も反動売りをこなしつつ、水準を切り上げています。9月3日には2221.5円まで上昇しています。
株価急伸で上場来高値に接近
ただ、足元ではやや上値が重くなっています。今年の2月につけた上場来高値の2244.5円に接近してきたことが影響していると思われます。
一般的には、株価が急伸しても以前の高値に接近してくると、売り物が出やすくなります。高値近辺で買った投資家からのやれやれ売りが増えてくることが背景にあります。また、7月中旬から8月前半にかけて日本株が弱かったこともあり、8月5日には1600円まで下落しています。安いところで仕込んだ投資家からすれば、直近高値の手前というのは利益を確定させるには悪くないタイミングです。そのため、2200円近辺では売り買いが交錯しやすくなります。
買収の成否にかかわらず構造改革が急務
セブン&アイは買収観測が報じられた8月19日に、クシュタール社から買収提案を受けていることは事実であることを公表しました。一方、9月6日には、これらの提案がセブン&アイの価値を「著しく」過小評価しているといった旨のコメントも出しています。買収が成立するかどうかに関しては、現時点ではまだ不透明な要素が多いです。
ただ、この話が出てくる前から、セブン&アイは改革の必要に迫られていました。コンビニ事業に注力すべきといった指摘は以前からありましたし、今年の4月にはイトーヨーカドーなどスーパー事業を新規上場させるといった話も出てきました。そのイトーヨーカドーに関しても、今年に入って多くの店舗の閉鎖が決まりました。買収が成立するしないにかかわらず、セブン&アイは会社として大胆な変化が求められる局面にあると言えます。
ニュースと株価の関係を学ぶ良い機会
セブン&アイの9月11日の終値は2120.0円でした。100株単位で最低購入代金は21万2000円となります。今回はこのタイミングで購入したと仮定して、1カ月後、10月11日(金)の株価と見比べます。手数料・税金等は考慮しません。
足元では買収関連のニュースが多く出ていますので、進展があるかどうかが注目されます。買収が成立しない場合には、セブン&アイが独自成長に向けて踏み込んだ施策を投資家にアピールする必要があるでしょう。テクニカル的には上場来高値の2244.5円を超えられるかどうかが大きなポイントになります。
多くの人になじみのある企業ですし、セブン-イレブンやイトーヨーカドーが今後どういった形で運営されていくのかは非常に興味深いです。ニュースが株価にどういった影響を与えるのかを学ぶという点でも良い機会になるかと思います。この先の株価をイメージしつつ、関連のニュースにも注目してみてください。