特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2022年9月に取り上げた任天堂(7974)の値動きを振り返ります。
1カ月で3%のマイナス
10月13日の終値は6030円でした。
1カ月前、9月13日の終値は6万2210円でした。9月に1:10の株式分割を実施していますので、6221円として比較すると、1カ月で191円のマイナスとなりました。9月13日の時点では最低単位購入するのに622万1000円必要(手数料等・税金などは考慮せず、これ以降も同様)でしたので、これが603万円(6030円×1000株)となり、19万1000円のマイナス。この間の下落率は3.1%でした。
ただ、9月13日に購入して保有し続けた場合は、中間期の配当を取得する権利を有しています。23.3期の中間配当は10月17日時点では未定ですが、前年同期は620円(100株保有だと6万2000円)の配当を出しています。実際にはその分がオンされることになります。
分割直後に買った場合は小幅高
今回はもう1つ、分割した初日の寄り付きで買った場合のパフォーマンスも検証します。9月29日に権利が落ちており、この日の寄り付きは6021円でした。10月13日の終値は6030円。9円のプラスで、最低単位だと60万2100円が60万3000円となり、900円のプラスとなりました。上昇率は0.15%と、ほぼ横ばいでした。なお、こちらは権利が落ちた後に買ったことになりますので、この期間の保有では配当は取得できません。
9月中盤に失速して10月に反転
それではこの間の値動きについて振り返っていきます。なお、チャートに関しては分割を考慮したものになっていますので、分割前の株価についても10分の1となっています。「スプラトゥーン3」の初速販売が強かったというニュースを受けて9月13日に大幅高となった後、9月15日には6342円まで上昇しました。しかし、9月後半にかけては調整が入り、10月3日には一時5610円まで下落しました。
急失速に関しては、9月13日のダウ平均が大幅安となり、その後、米国株が大きく崩れたことが大きかったと思われます。米国株が崩れたのは、米国の長期金利が大幅に上昇するとの警戒が強まったことが要因ですが、任天堂は成長期待が高い、いわゆるグロース株とみられていますので、長期金利が上昇する局面では嫌われる要素があります。
分割直後の9月29日は、陽線で終えていますが長い上ヒゲをつけています。買いやすくなったことで人気を集めましたが、前の日の28日には日経平均が一時26000円を割り込んでおり、下振れへの警戒が強い時期であったため、高くなったところでは戻り売りに押されました。
一方、米国株が下げ止まった10月以降はしっかり切り返しています。前回、分割を発表した後の任天堂は5万5000円~6万円レベル(分割を考慮すると5500円~6000円)での一進一退が続いていることを紹介しましたが、レンジの下限近辺で買いが入っています。
レンジ相場継続か、それとも上放れか
今回は、10月13日の終値との比較ではそこまで大きな動きとはなりませんでした。この期間には大きく下げる場面もありました。期間中に最も下げた10月3日安値の5610円は、6221円から10%近く下(-9.8%)の水準でした。ただ、直近9月6日の安値5594円は下回りませんでした。
株価が下げ基調にある銘柄に関しては、直近の安値を下回ってしまうと、それを見て投げ売りが出やすくなることがあります。一方、今回のように直近の安値を割り込まなかった場合には、底打ち感が台頭します。任天堂に関しては、5500円(分割前では5万5000円)近辺で何度も反転していたので、下げ止まった後は6000円台を難なく回復してきました。
この先は、11月8日に予定されている上期決算が大きな注目点となります。また、「スプラトゥーン3」の販売動向も気になるところです。上期決算を消化したあたりからは年末商戦も意識されますので、ソフトの販売好調が業績にも貢献するという見方が強まれば、クリスマス商戦の本命株として人気を集める要素もあります。
テクニカル面からは、レンジ相場が続くのか、それとも変化が出てくるのかが焦点となります。9月に買いが入った局面では7月につけた直近高値6238円を上回っています。上述したように下げた局面では直近安値を割り込んでいませんので、レンジ脱却の場合は上方向に放れる可能性が高そうです。9月13日の高値6342円を上回ってくれば、レンジ相場から上昇相場に移行したとの見方から、買いに勢いがつく展開にも期待ができます。一方、6000円台前半でもたつくようであれば、従来からのレンジ相場がもうしばらく続くことになりそうです。