特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2023年10月に取り上げたトヨタ(7203)、ホンダ(7267)、日産自動車(7201)、マツダ(7261)の自動車4社の値動きを振り返ります。
マツダとトヨタが大幅高、日産自動車とホンダは下落
結果は以下の通りとなりました。
期間中、最もパフォーマンスが良かったのが+7.0%のマツダでした。トヨタが+6.8%となっており、この2銘柄はプラスでした。一方、日産自動車は-2.7%と下落しており、最もパフォーマンスが悪かったホンダは-4.4%となりました。
全社上方修正を発表も反応はまちまち
この期間中に4社すべてが上期の決算を発表しており、4社とも通期の見通しを上方修正しました。しかし、決算発表直後の反応は、トヨタが大幅上昇となり、マツダが急騰したのに対して、日産自動車とホンダは大きく下落しました。
修正内容が良かったマツダとトヨタが好パフォーマンス
上方修正に対する反応に濃淡がついたのは、その中身に原因があったと考えられます。以下の表では、各社の修正内容について、営業利益の引き上げ幅がどの程度かを一覧にしています。
これを見ると、マツダとトヨタの引き上げの度合いが大きかったことが分かります。
また、この4社の中ではトヨタの決算発表(11月1日)が最も早く、次いでマツダ(7日)、それから日産自動車とホンダが同日(9日)というスケジュールでした。トヨタとマツダの大幅上方修正により、後から決算を出してくる企業に対する期待値は高まります。しかし、日産自動車やホンダは、トヨタやマツダほどの大幅な引き上げではなかったため、決算発表直後では失望の反応が大きくなったと推測されます。
格差が拡大するか縮小するかが今後の焦点に
似たような動きをしていた4社でしたが、決算を消化したこともあって、値動きを見た1カ月では明暗が色濃く出てくる結果となりました。今後は格差が拡大するのか縮小するのかが注目点となります。
決算発表が一巡すると、証券会社から業界全体を総括したレポートが出てくることも多いです。そういった際には内容が良かった企業の評価が高まりやすいので、決算で買われた銘柄がレポートを手掛かりに一段高となることも少なくありません。
一方、最近では決算発表時の株価の値動きが荒くなる傾向があります。発表直後に人気になりすぎると過熱感が出てきますし、たたき売られた場合には割安感が台頭してきます。今回であれば、取り上げた4社とも上方修正を発表しています。「自動車株は総じて決算が良かったよね」という見方が強まれば、むしろ発表直後に売られた銘柄の投資妙味が高まることもあります。
これら4社はそろって9月に今年の高値をつけており(2023年11月14日時点)、決算発表直後では高値を更新することができませんでした。決算反応が良かったマツダやトヨタが、この先に年初来高値を更新できるかどうかも、自動車株をみる上では重要なポイントとなります。