株式を買ったと仮定して、その値動きを検証する企画、「あの銘柄を買ってみた!」今回は空運株の日本航空(JAL)を取り上げます。証券コードは9201、東証プライムに上場しています。
コロナ・ショックで2020年には一気に半値に
JALの株価はコロナ・ショックにより、2020年に大きく崩れました。コロナ前は3000円台前半で推移していましたが、この年の11月には安値1556円をつけており、コロナ前から半値となりました。
2021年に入ると若干水準を切り上げましたが、コロナによる行動制限が長期化する中、2700円台まで上昇すると押し戻されるといった動きが続きました。
2022年も前半は上値の重い展開が続きました。しかし、コロナの年央辺りから水準を切り上げ、その後、水際対策の緩和期待が高まったことで人気化しました。11月4日には2857円まで上昇しており、2021年の高値を上回っています。
決算では業績改善を確認するも株価は下落
JALは2022年11月1日に、23.3期上期の決算を発表しています。上期の最終損益は21億円の赤字でしたが、前年同期は1049億円の赤字でしたので、大幅に赤字が縮小しています。
しかし、決算を受けた翌11月2日の株価は下落で終えました。そして、そこからほどなくして、上昇一服感が出てきて下げ基調を強めました。
株式市場には「知ったら終い(しまい)」という相場格言があります。好材料が幅広く周知されてしまうと、株価は天井を打つことが多いことを言い表した格言で、今回はまさにそのような値動きとなっています。
訪日客データには好反応
上期の決算発表以降はさえない動きが続いていましたが、直近では株価が大きく上昇する場面がありました。日本政府観光局(JNTO)が発表した2022年10月の訪日外客数が、前月9月との比較で約2.4倍と大幅増となったことで、11月17日には同社ほか、訪日客増加の恩恵を受ける銘柄の多くが大幅高となりました。今後は続々と海外から日本に来る人が増えることが期待できますので、来月以降の訪日客データも強い内容となる可能性が高いです。
離陸前か?着陸間際か?
今回はこのタイミングで株式を買ったと仮定して、1カ月の値動きを追っていきます。
11月22日の終値は2678円。100株単位で最低購入金額は26万7800円となります。手数料や税金等の影響は考慮せず、シンプルに12月22日(木)の終値と比較します。
次回11月分の訪日客データの発表予定日は12月21日ですので、ちょうど12月22日に大きな動きが出てくるかもしれません。
11月22日終値時点での予想PERは26倍、同業のANAホールディングス(9202)は34倍となっています。黒字転換前提で相応の評価はされていると言えますが、赤字から黒字回復を目指す局面では業績がブレやすくもあります。
インバウンド関連、経済活動再開関連の銘柄は、2022年にテーマとしても盛り上がりました。同社やANAは、これらが物色される際に値幅が出ることも多いです。訪日客データを受けた直近の上昇が、新たな離陸に向けて動き出したものなのか、それとも、飛行機の着陸間際にフワッと浮き上がるような現象に近いもので、もう大きく上昇する燃料は残っていないのか。2023年も引き続き期待できるのかという点からも、ここからの動きは注目されます。
ぜひ皆さんも、この先の値動きを予想してみて下さい。上がる、下がるというだけでは物足りない方は、「●●円くらいになりそう」と水準までイメージしてみることをオススメします。現状の株価はテクニカル面からも興味深い水準にあります。振り返りの回では、その辺りも掘り下げて解説する予定です。
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