特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」、今回は2022年7月に取り上げた、東京エレクトロン(8035)について、7月26日から8月26日の値動きについて振り返ります。
1カ月間で3%の上昇
8月26日の終値は4万5870円でした。
7月26日の終値は4万4520円で、1カ月で1350円の上昇。100株購入した場合だと、13万5000円のプラス(手数料等・税金などは考慮せず)となりました。この間の上昇率は3.0%となりました。
445万2000円(4万4520円)→458万7000円(4万5870円) 13万5000円のプラス(+3.0%)
米国の長期金利はグロース株高をフォロー
7月26日時点の東京エレクトロンには、(1)米国の長期金利が落ち着くか、(2)同社の決算、という2つの関門が待ち構えていました。
(1)については、7月26日~27日に開催されたFOMCで0.75%の大幅な利上げが決定されました。しかし、市場では事前に織り込み済みとなっており、決定を受けた直後の米国の長期金利は低下しました。このことは、同社を含めてハイテク・グロース株にとってはフォローの材料となりました。
1Q決算は大きな失望
一方、(2)については、8月8日に出てきた同社の1Q決算は前年同期比で営業減益と見映えの悪いものとなりました。これを受けた翌日9日は前日比8.3%安と急落しました。他の半導体株には業績が良かったものも多かったこと、それを受けて同社の決算発表直前では期待買いも入っていたことから、ネガティブサプライズと受け止められました。
株価は横ばいも底打ちとまでは・・・
以下は、この期間のチャートとなります。
決算発表直後の反応が強い売りであったにもかかわらず、3%高とプラスになったところを見ると、下げ余地が限られているようにも見受けられます。ただ、同じ期間の値動きを週足チャートで見ると、印象もまた変わってきます。
赤線で囲ったところが値動きを振り返った期間となります。今年に入ってからは、大きく下げては戻すという動きをくり返しています。今回も、6月に大きく崩れたところからは切り返していますが、下げ分を埋めるまでには至らず、戻り一服感が出てきていることが見て取れます。
1カ月間の動きはほぼフラット、追い風は逆風に変わる懸念も
この1カ月を見ると、プラスではありましたが3%高というのは、ほぼフラットと言えます。同社株は市場の注目度も高く、1日で2~3%動くことも多いです。2つの注目材料があったため、大きな動きが出てくる展開に期待してこの銘柄を選びましたが、その材料が相反する効果をもたらしたため、方向感が定まりませんでした。
参考までに同じ期間の大手半導体株のパフォーマンスを見ておくと、アドバンテスト(6857)が12.2%、レーザーテック(6920)が11.8%高となっています。半導体株が買われやすい地合いではありましたが、自身の決算が悪かったことで、追い風に乗り切れなかったというところでしょうか。
(1)の要素(米国の長期金利)に関しては、直近で風向きが変わってきています。パウエルFRB議長が講演でインフレ抑制に向けて注力すると発言したことで米国の長期金利が上昇基調を強めており、8月26日の米国市場ではダウ平均が1000ドルを超える下落となりました。今回は8月26日で区切りましたが、この翌営業日29日は日経平均が700円を超える大幅下落となる中で同社株も5%を超える下げとなっており、終値は4万3530円と7月26日の水準(4万4520円)を下回りました。
この先、米国のグロース株が金利上昇を警戒して売られ続けるようだと、国内ハイテク株にもネガティブな影響が及びそうです。同社は1Q決算が市場の失望を誘っているだけに、追い風が向かい風に変わってしまうと底打ちには時間がかかるかもしれません。次の決算でしっかり挽回できるかが注目されます。