特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は自動車メーカーの本田技研工業(ホンダ)と日産自動車を取り上げます。証券コードはホンダが7267、日産が7201で、どちらもプライム市場に上場しています。
経営統合・・・ではない?
両社は2024年12月23日に、経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結したことを発表していました。しかし、2025年に入って2月5日に風向きが大きく変わります。この日に、統合が破談になるとの観測報道と、日産自動車が基本合意書を撤回したとの観測報道が出てきました。
初動はどちらも上昇、その後明暗
この経営統合に関しては、ホンダが日産を救済する意味合いが強いとみられていました。それであれば破談観測は日産の売り材料になる・・・かと思われましたが、このニュースに対して5日の日産株は大幅高となる場面がありました。ホンダにも買いが入りました。
一方、その後、日産が基本合意書を撤回したとの観測が出てきた際には、ホンダは一段高となりましたが、日産は売られる流れとなり、マイナス転換して下げ幅を広げました。日産は「経営統合の中止に関する報道の真偽等に関する発表が行われた」ことを理由に14時49分に売買停止となり、この日は再開せず終了しました。
破談観測でも日産株が買われたことについては、投資家が別のハッピーエンドをイメージしていた可能性があります。日産に関しては台湾企業が関心を示しているとみられており、昨年12月にホンダと日産が統合に向けて前進したのは台湾企業による買収を阻止する目的もあったといった観測も過去には報じられていました。
一方、合意書撤回で売られたことに関しては、「日産側がそのようなアクションを起こした場合に、新たなパートナーが出てこなかったらどうなるの?」といったリスクが強く意識されたものと推測されます。なお、ホンダに関しては、財務悪化不安の解消につながるといった見方から買いが入ったと考えられます。
なお、2月5日はあくまで観測で株価が動いています。ホンダ、日産ともに5日引け後に、会社からの発表ではないとのコメントを出しています。
両銘柄とも経営統合を材料に安値圏を脱出
こちらは両銘柄の週足チャートとなります。
どちらも2024年の株価は下り坂となっており、12月に経営統合に関する報道や会社からのリリースなどを材料に鋭角的に切り返しています。経営統合に対する市場の期待の高さがうかがえます。
この先どのようなドラマが待ち受けているのか
このタイミングで両銘柄を購入したと仮定して、1カ月後の株価と見比べます。2月5日の終値はホンダが1500.0円、日産自動車が386.9円でした。100株単位で最低購入金額はホンダが15万円、日産が3万8690円となります。3月5日(水)の終値と比較します。手数料・税金等は考慮しません。日産は売買停止のまま終えましたので、6日のスタートは5日の終値から大きく動く可能性はありますが、あくまでシュミレーションですのでその点はご了承ください。
相思相愛には見えなかったものの、一緒に前を進もうとしたホンダと日産。ただ、相容れない一線はあったもよう。この先、もう一度歩み寄るのか、別々の道を歩むのか、新たなプレイヤーは登場するのか、そして株価はどう動くのか、非常に興味深い局面です。
どちらかの優劣が色濃くなる、どちらも上昇、どちらも下落、様々なケースが考えられます。「国内の2番手以下が一枚岩になれないのなら、トップのトヨタ(7203)の優位性が高まるのではないか」といったアイデアもあります。業界に大きな変化が到来する時というのは、投資のチャンスでもあります。ご自身なりの仮説を立てて、この先の株価を予想してみてください。