9月11日に「第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
という記事を配信させていただきました。
読まれた方は覚えているかもしれませんが、すでに1カ月経ったため忘れている方もいると
思われますので大幅に加筆し、再掲載します。
選挙前のNZの政治状況
まずは選挙前の政権ですが与党は労働党です。
個人的に人気があったアーダーン氏が突如辞めたことで、現首相はヒプキンス氏となっています。
選挙前の一部調査では労働党25.9%、保守党35.9という支持率になっています。
(最終的にはかなり労働党の支持率が盛り返したとのデータもあります)
労働党の前回の選挙でも、単独過半数を獲得することが出来なかったことで
緑の党やニュージーランド・ファースト党との連立を組んで、9年ぶりに政権を奪取しました。
コロナ禍では、世界でも最も厳しいゼロコロナ政策を実施。当時の政権支持率は急上昇しました。
しかしながら、インフレ、住宅価格の急騰など社会問題が徐々に表面化し労働党の支持率は
徐々に低下していきました。
今回の選挙がなぜ金融市場に重要か?
今回の選挙が金融・為替市場には大きな影響を与えることになりそうです。
その理由は中道右派の野党・国民党が公約として
中央銀行のNZ準備銀行(RBNZ)は責務縮小や外部からの精査に直面する可能性があるからです。
2018年に労働党がRBNZの責務として、インフレ率を1-3%に維持するという目標に加え
米連邦準備理事会(FRB)のように雇用に関する目標(持続可能な最大雇用)も責務に追加しました。
これを国民党は削除しようと試み、公約にしています。
もし、国民党が選挙で勝利し、雇用目標を削ることになった場合は
インフレ対策に積極的になることで。RBNZは更にタカ派的にならざる終えない
との声がエコノミストから上がっています。
一方で、国民党の選挙前の財政計画では労働党と比べて財政規律の強化が約束され
4年間で労働党よりも約30億NZドル少ない支出になるとの声もあります。
その場合は、追加財政支出と結びつけるのであれば、
政権交代は長期的にはRBNZのタカ派的姿勢が薄れることを示唆する可能性、との声も一部ではあります。
ハングパーラメントの可能性も
現時点での可能性は、国民党の勝利は、RBNZの責務変更につながりNZドルにとっては中程度プラス
ニュージーランド短期債にとってはマイナスとなるだろうというのがコンセンサスになっています。
しかし、他にも警戒しなくてはならないのは、保守党が最大議席を獲得した場合でも
単独過半数に届かないのはほぼ確実で、連立相手を探す必要があります。
そして、その相手を見つけられない場合で、ハングパーラメントとなった場合です。
この場合はNZドルにとっては最悪のシナリオ(NZドル売り)になるとの見解が多いです。
選挙結果後に、どのように政治が動くかを知らずにNZドル取引は
やってはいけないでしょう。