週明けの日経平均は反落、直近安値付近で下げ渋る
週明け30日の東京株式市場で日経平均は反落。TOPIXの浮動株比率見直しに伴うリバランス需要の発生日で商いは高水準となり、東証プライムの売買代金は概算で5兆6600億円に膨らみました。
国内企業の決算発表が本格化しています。決算銘柄の反応が強く、投資家心理を揺さぶっています。先週、富士通は下方修正がネガティブ視されず12%高と急騰した一方、30日はコマツが上方修正や増配を発表したにもかかわらず7%を超える下落。下方修正を発表したオムロンがストップ安となりました。先週、決算発表後に売られたニデックは30日まで5日続落となり売りが止まりません。
これだけ頭をかしげるような値動きとなると、決算発表を控えた銘柄には怖くてますます手出しができません。
今回はチャート道場の第5回目として、すでに決算発表を終えた武田薬品工業(4502)の株価推移を採り上げてみました。
週足でみる武田薬品工業の株価推移
武田薬品工業(4502)の株価推移を週足チャートで確認してみましょう。図表は、2017年7月頃からの週足チャートです。上部がローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線を挿入したチャート。下部がRSI(相対力指数)の14週ベースのチャートです。
図表の左端からの全体の株価推移をみると、大ざっぱに下降相場から上昇相場に変わっている可能性に気づくと思います。
テクニカル指標を使って、いろんな角度からみていきましょう。まずは、サイクルトランスレーションです。
サイクルトランスレーションは、サイクル(周期)の山がどちらの谷の方に寄っているか、どちらの谷の方が高いかによって、相場の強弱を判断しようとするものです。サイクルは、「谷」→「山」→「谷」の一連の流れのことをいいますが、実際の相場の周期や振幅は不規則で、山や谷の位置も左右どちらかに偏っています。この状態を、「トランスレーション」と呼びます。
上昇相場では、サイクルの山が理想的な中点から右側にずれることが多いです。サイクルの山が右側に位置する場合を、ライト・トランスレーション(右変型)と呼びます。一方、下降相場では、サイクルの山が理想的な中点から左側にずれることが多いです。サイクルの山が左側に位置する場合を、レフト・トランスレーション(左変型)と呼びます。
上部のチャートの株価推移をみてください。確かに、2021年12月に安値をつけるまでは、レフト・トランスレーションの連続であることがわかります。
一方、2021年12月安値「谷」から始まるサイクルは「山」をつけにいく右肩上がりが続いていましたが、今回の決算発表で大幅な調整を強いられ、「山」を形成した雰囲気です。次の「谷」をつけるまでには何週間かかるか分かりませんが、2018年1月高値を起点とした下降相場はすでにライト・トランスレーション(右変型)の上昇相場に変わっているという想定ができます。つまり、次の安値となる「谷」は押し目買いの判断ができるでしょう。
移動平均線では、2022年に入り13週移動平均線が26週移動平均線や52週移動平均線を下から上回るゴールデンクロスとなり、3本線ともに上昇が続く上昇相場でした。しかし、直近高値からの株価下落によって、13週移動平均線と26週移動平均線は下落に転じています。
株価は3本のうちで最も長期の52週移動平均線をも下回ってしまっています。ただ、52週移動平均線自体が依然として上昇しているため、長期のトレンドはまだ上昇が続いているという判断となります。
ここで留意点としては、株価と移動平均線の関係です。上昇が続いている移動平均線を株価が下回った場合、まもなく反発に転じることが多いという点です。
では、次の安値のメド(押し目のメド)を支持線を用いて考えていきましょう。下落相場から上昇相場に移行した場合、押し目を形成する際には過去につけた戻り高値や、戻り高値をつないだ線を支持線と捉えることができます。
図表の場合、下落相場の途中で形成した2箇所の戻り高値を起点に、その後の高値をつないだ2本線が支持線になりえるということです。現在は2本のうち、高い水準の支持線まで調整が進展しました。ここから反発上昇に転じる可能性が高いと判断できるでしょう。一方、この支持線を下回っていく場合、次は2本目の線が支持線になりうると判断を修正する必要があるでしょう。
最後に、下部のRSI(相対力指数)の14週ベースの推移です。トレンドはいつまで続くかはわかりません。ただ、上昇の勢いにはどこかで限界が生じます。その限界を判断する目安になるのが、このRSIの逆行現象というものです。
株価が急落する直前に直近高値を更新した場面のRSIの推移をみると、RSIの方は直近の高値水準まで到達していません。このように株価とRSIなどオシレータ指標の逆行現象が、相場の最終局面に現れるトレンド転換サインになるケースはよくあります。
今回の武田薬品工業の急落は決算が悪材料視されましたが、それ以前に株価は悪材料に敏感に反応しやすい状態にあったといえます。