先週の日経平均は小幅安、連続陰線で上値重く
先週の日経平均は小幅安。週足ローソク足は2週続けての陰線となり、上値の重い展開となりました。米国市場ではダウが連騰するなど堅調に推移する中、国内は決算発表ラッシュで失望決算を受けて急落する銘柄が多く、ドル円の乱高下への警戒や国内企業の業績見通しに対する期待値低下など、日本株の手掛けづらさが意識された一週間でした。
5月10日の日経平均は前日比155円高で終了。東証プライムの売買代金は5月限のSQ売買がかさみ、概算で5兆3,100億円に膨らみました。値上がり銘柄数902に対して、値下がり銘柄数は701とやや値上がり優位の展開となりました。
業種別では27業種が上昇。石油・石炭、金属製品、その他製品、鉱業などの上昇が目立った一方、パルプ・紙、輸送用機器、その他金融、電気機器、鉄鋼、陸運が下落しました。
個別では、ダイキン工業が大商いで8%を超える上昇率となったほか、今期の営業利益が前期比倍増の見込みとなったツムラがストップ高となりました。取引時間中に上方修正や優待内容の変更を発表したF&LCが急伸したほか、今期減益見通しながらも自社株買いの発表が好感されたセガサミーホールディングスなどが上昇しました。一方、決算失望のSCREENを中心に、東京エレクトロン、レーザーテックなど半導体株が軟調。日産自動車が決算を受けて大きく下げ、トヨタ、ホンダなど自動車株に下落銘柄が多かったほか、今期の減益計画がネガティブサプライズとなった西武ホールディングスが急落しました。
週足でみるセガサミーHDの株価推移
図表は、セガサミーホールディングス(6460)の2022年4月頃からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線を挿入したチャートです。下方のグラフは出来高の推移を示したものとなります。
2023年8月高値(3,219円)を起点とした下落相場で、13週移動平均線や26週移動平均線、52週移動平均線をあっさりと下回る展開となりました。一時は、2022年11月安値(1,730円)を前に13週移動平均線を上回る反発をみせる場面もありましたが、出来高増加を伴う急落で、今年2月安値(1,705円)までのダメ押しにつながりました。
急落の要因は、2月9日に発表した24.3期の通期連結営業利益予想を従来の600億円から510億円(前期比9.0%増)に下方修正したことです。下方修正を受けて買い方の見切り売りなどが多くなり、2週続けての長い陰線で13週移動平均線を下回り、2022年11月安値も下回る展開となりました。
直前の上昇幅以上に下落幅が生じたことになり、基本的には弱気継続の判断となります。一方、2022年11月安値を下回ったあとに一段安となる下値模索につながらず、むしろジリジリと戻ってきている様子がうかがえます。
13週移動平均線に続いて、26週移動平均線も上回る展開となる中、足元でさらに大きな変化が生じたことが確認できます。それは、下落相場の途中で13週移動平均線を上回った際につけた戻り高値(2,242.5円)を超えてきたことです。
戻り高値を超えるきっかけとなったのは、5月10日に発表した決算発表でした。24.3期は通期連結営業利益が568億円(前の期比21.5%増)と増益着地となりましたが、25.3期の連結営業利益予想を450億円(前期比20.8%減)と減益に転じるアナウンスとなりました。しかし、700万株・100億円を上限に自社株買いを発表したことが好感され、株価は出来高増加を伴う大幅上昇となりました。
出来高増加を伴う上昇が、今後の動向を占う上でカギを握ることになるでしょう。戻り高値更新で、2月の急落時の出来高増加分を含め、急落前の戻り高値などで買い方になった投資家の評価損が評価益に変化したことになり、需給改善につながる可能性が高くなったと判断できます。
2023年8月高値からの下落相場の過程で、初めて直近の戻り高値を超えたことにもなり、再び大きな上昇相場へ転換した可能性が高くなった局面でもあります。