【東野幸利のチャート道場～イビデン】

先週末の日経平均は続伸、TOPIXは11連騰

先週末の日経平均は続伸しました。米国株高と円安進行を好感して、寄り付きから400円を超える上昇。米国と英国が貿易交渉で大枠合意に至ったほか、米中交渉に対する期待が高まる中で広範囲に買いが入り、じわじわと水準を切り上げる展開となりました。日経平均は75日線を上回って終了、TOPIXは11連騰となりました。

東証プライム市場の売買代金は概算で5兆7,300億円。値上がり銘柄数1,282に対して、値下がりは311銘柄と、値上がり優位の展開でした。業種別では、倉庫・運輸、銀行、保険などが上昇した一方、機械、医薬品、その他製品などが下落しました。

個別では、NTT（9432）による公開買い付けに賛同の意を表明したNTTデータG（9613）が商いを伴って14.3％高。業績関連のリリースを材料にイビデン（4062）がストップ高となったほか、今期の大幅増配計画がポジティブサプライズとなったアイフル（8515）が後場急騰しました。一方、任天堂（7974）やコナミG（9766）などゲーム株が決算を受けて売りに押されました。減益見込みのSUMCO（3436）が下落。ニデック（6594）が株式公開買い付けの撤回を発表したことが売り材料となった牧野フライス製作所（6135）が急落しました。

週足でみるイビデンの株価推移

図表は、イビデン（4062）の2023年5月頃からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線です。下位は、売られ過ぎや買われ過ぎなどをみるオシレータ系指標で代表的な相対力指数のRSI（9週ベース）の推移です。

大局的な見方は、2023年9月高値（9,285円）からの下落相場が続いている局面です。下落が始まった序盤の段階（一段下げ目）では、上昇基調にあった52週移動平均線がサポートする場面がありました。

しかし、2024年1月の戻り高値（8,359円）からの下落で2023年10月安値（6,131円）を下回り、二段下げ目に突入した格好となりました。

再び反発する場面がありましたが、2023年9月高値と2024年1月高値をつないで延長したトレンドラインに上値を抑えられ、三段下げ目に入る相場展開となっています。

三段下げ目では序盤こそ急落に近い動きでしたが、4,000円どころの心理的節目を意識した押し目買いで下げ渋り、何度が反発する動きが確認できます。

RSI（9週ベース）は2024年8月安値（4,090円）をつけにいく過程では20％水準まで低下しましたが、直前の安値水準を下回っておらず、下落する勢いが減速しているのがわかります。

4月の株価急落で2,956円まで下落し、底割れする一段安の結果となりました。ただ、週足ローソク足は長い陽線を形成し、足元までの反発基調が続いています。そして、5月9日はストップ高となり、13週移動平均線に続いて26週移動平均線も上回ってきました。概ね、52週移動平均線あたりまで上昇した局面です。

2023年9月高値からの下落相場の中で何度も反発を繰り返してきましたが、直前高値を一度も上回ることはありませんでした。しかし、今回の反発局面では直前高値を上回っています。下落相場から上昇相場に変わる兆しといえ、今後の動向が注目されます。

52週移動平均線とトレンドラインが概ね同じ水準に位置しています。上値抵抗になることが予想される水準であるだけに、短期的な調整は許容範囲として想定しておくべきでしょう。52週移動平均線やトレンドラインを超えることができれば、上昇相場入りの可能性がより高まったという判断ができそうです。

同時にRSI（9週ベース）の動きも併用してみる必要があります。今年4月に株価が急落した際に一時的に低下する場面がありましたが、比較的早い段階で50％以上まで上昇しています。過去の高値水準をつないだ抵抗線付近まで上昇しており、ここを超える上昇がみられると、株価反発の勢いが維持できているということになります。一方、抵抗線で上昇一服となれば、株価上昇の勢いは減速したとみることができます。