【東野幸利のチャート道場～三越伊勢丹ＨＤ】

日経平均は大幅反落、下げ幅は一時2,000円超え

週明け30日の日経平均は1,910円安の大幅反落となり、下げ幅は一時2,000円を超える場面がありました。27日に自民党新総裁が決まった後、円高が急速に進行して先物が急落。これを嫌気して、700円超下げて始まりました。38,000円近辺でいったん売り圧力は和らぎましたが、後場にドル円が1ドル＝141円台に突入し、円高進行が警戒ムードを強める格好となりました。

東証プライム市場の売買代金は概算で6兆1,200億円。値上がり銘柄数130に対して、値下がり銘柄数1505とほぼ全面安となりました。業種別では、上昇は銀行のみで、パルプ・紙や石油・石炭が相対的に値を保ちました。一方、輸送用機器、不動産、証券・商品先物などの下落が目立ちました。

個別の物色では、高市早苗氏の総裁選勝利を見越していたことで逆回転の動きとなりました。高市氏が早期の利上げに否定的な見解を示していたことから先週売られた三井住友ＦＧ （8316）やみずほＦＧ（8411）などメガバンクが逆行高となりました。

一方、27日の米国でエヌビディアが売られたことから半導体株が急落。円高進行を受けて自動車株も軒並み安となりました。三越伊勢丹ＨＤ（3099）や高島屋（8233）など百貨店株もインバウンド需要減退懸念から軒並み安。高市氏の敗北で日銀が追加利上げに踏み切りやすくなったとの見方から、三井不動産（8801）や三菱地所（8802）など不動産株が売り込まれました。

週足でみる三越伊勢丹ＨＤの株価推移

図表は、三越伊勢丹ホールディングス（3099）の2023年6月頃からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線です。下位は、売られ過ぎや買われ過ぎなどをみるオシレータ系指標で代表的なスロー・ストキャスティクス（9-3-3）の推移です。

大局的な流れとしては、2023年12月安値（1,485.5円）を起点とした三段上げの上昇が明確に確認できます。上昇幅が次第に小さくなっていく、上昇モメンタムが次第に弱くなっていくパターンでしたが、今年7月高値（3,674円）まで上昇が続きました。

今年7月高値からの下落調整局面では3週続けての陰線を形成し、一気に値幅調整が進みました。8月上旬の日本株全体の急落局面では、52週移動平均線を割り込む場面がありましたが、長い下ヒゲのある実体の短い陽線を形成し、短期的なリバウンドが生じました。

短期的なリバウンドでは8月中旬に高値（2,605円）まで上昇する場面がありましたが、今年4月の高値（2542.5円）付近が抵抗水準として意識されたようです。

その後は8月安値を見にいく二番底を試す動きとなりましたが、9月30日現在では8月安値を割り込んでいません。割り込まない状態で8月中旬の高値を上回ることができると、底入れパターンが完成します。

底入れパターンが完成した場合、今年7月高値から8月上旬安値（1,948円）までの下落幅に対する半値戻しの2,810円程度が上値のめどとなります。ちょうど、今年6月の下落時につけた安値（2,816円）とほぼ同じ水準になるため、簡単には超えられない重要な上値のフシとなりそうです。

先週は高値引けとなる長い陽線を形成し、上昇に勢いがつきそうな動きでした。スロー・ストキャスティクスも売られ過ぎの水準から脱する兆候がみえてきた状況でした。

しかし、週明けは10％を超える下落で押し戻され、52週移動平均線を少し割り込んで終えています。

現時点での見方は大きく変わっていませんが、直近9月安値（2,081円）を下回った場合、8月上旬の安値も割り込むほどの勢いがつく可能性があり注意が必要となります。