先週末の日経平均は続伸、週足は4週ぶりの陰線
先週末の日経平均は続伸。週足では4週ぶりの陰線で終えました。円安基調の継続が安心材料となりましたが、場中は方向感に欠ける動きが続きました。14時から始まった石破新首相の所信表明演説では小高い水準でのもみ合いでしたが、演説が終了したあたりからは値を消し一時下げに転じる場面もありました。
東証プライム市場の売買代金は概算で3兆8,800億円。値上がり銘柄数1,150に対して、値下がり銘柄数448と値上がり優位の展開となりました。業種別では、鉱業、石油・石炭、電気・ガスなどが強い動きとなる一方、海運、輸送用機器、電気機器の3業種が下落しました。
個別物色では、米長期金利が上昇したことから、三菱UFJFG(8306)などの銀行株に買いが入ったほか、原油高を好感してINPEX(1605)、石油資源開発(1662)などが大幅上昇。セブン銀行(8410)株の一部を売却して連結対象から外すことを検討しているとの観測が報じられたセブン&アイHD(3382)が大幅高となりました。一方、米国の港湾ストライキが終了すると伝わったことを受けて、日本郵船(9101)や商船三井(9104)などの海運大手3社が急落。東京時間で円安に一服感が出てきたことから、トヨタ自動車(7203)やスズキ(7269)など自動車株には下落銘柄が目立ちました。
週足でみるセブン&アイHDの株価推移
図表は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)の2023年2月頃からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線です。下位は出来高の推移です。
大局的な流れとしては、コロナショック直後につけた2020年8月安値(979.2円)からの上昇相場が一巡し、現在は2023年3月以降で大きなもみ合い相場の局面にあります。
もみ合い相場は比較的大きな振幅をともなったもので、特徴的なのは主要な高値をつないだ抵抗線が切り上がり、主要な安値をつないだ支持線が切り下がっている点です。一般的によく出現する抵抗線が切り下がり、支持線が切り上がる「三角もち合い」とは違います。
三角もち合いは徐々に価格の変動幅が縮小して形成されるパターンですが、図表は、徐々に価格の変動幅が拡大して形成される「拡大三角形」のもち合いパターンです。海外では「ブロードニング」パターンと呼ばれています。トレンドが転換する天井圏や底値圏に出現することが多いですが、トレンドの中間で現れることもあります。
パターンの形成中の出来高は、増加傾向になることが多いとされています。抵抗線を上回った場合は上昇が加速、支持線を下回った場合は下落が加速する傾向が強いパターンです。
セブン&アイHDの株価は、日本株全体が急落に見舞われた8月上旬に1,600円まで売り込まれる場面がありましたが、2023年4月安値(1,810円)を起点に2023年10月安値(1,720.7円)を通る支持線上でビッタリ下げ止まり、反発に転じました。
カナダのコンビニエンスストア大手であるアリマンタシォン・クシュタールからの買収提案報道を通じて、「長大陽線」をともなう急騰によって13週線や26週線、52週線を下から一気に上回る展開となりました。出来高は今年に入ってから増加基調にありましたが、さらに増加している状況が確認できます。
しかし、今度は2023年5月高値(2,188.3円)を起点に今年2 月高値(2,244.5円)を通る抵抗線上でビッタリ上げ止まり、高値もみ合いの局面にあります。
この状態から抵抗線を上回る場合、さらに上昇が加速する可能性が高まるでしょう。一方、短期的な過熱感もあるため、抵抗線を上回ることができず、高値もみ合いから調整に転じる可能性も依然として高い状況といえます。
どちらのパターンも想定しておく必要はありますが、8月以降の急騰によって13週線が上昇に転じ、26週線や52週線を上回るゴールデンクロスが発生することが考えられます。そのため、短期的に調整に転じた場合であっても、上昇が続く13週線付近で早くも下げ止まることが予想され、次の抵抗線突破へ向けての押し目買いのタイミングになることも考えられます。